【銀魂】【続】男装やめても一般人になれなかった件

第八十九訓 ページ41

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「会いたくなった。あの夜王鳳仙を腑抜けになるまでたらしこんだ女に」

そう言って、男は追手の百華達を…


「吉原中の女達から太陽と呼ばれすがられる女に」


晴太君を小脇に抱えながら一瞬で殺していった。


…こっわ！！


ひえぇ、と心の中で悲鳴をあげながら、トン、と着地した男を見る。


…ていうか、この男が晴太君だけを抱え私を置き去りにしたために、私は返り血がベットリ付いたんですけど。

…いや、付いたというより被ったという表現の方が正しいか。

とにかく、全身真っ赤っかなんですけど。


「俺はどうやら今まで捜し人を間違っていたらしい。
…さあ会いに行こうか。吉原で最も美しく、強い女に」


男は、そんな私の存在を忘れたように晴太君に手を差し出す。


…え、待って。


存在を忘れているようにっていうか…本当に忘れてない？


…私、そんなに影薄い？


だが。

そんな私を天使が救ってくれた。

「待て！今はお姉さんを助けるのが先だ！！」

せ、晴太君…！！

私の方を見てそう言った晴太君。

私はきっと感動で涙目になっているだろう。


「お姉さん？」

男は、そう呟いて晴太君の視線を辿り、私の方を見る。


「あれ、死んでるじゃん」


死んでないよっっ！！！

生憎、私は大きな声が出せないので心の中で盛大にツッコんだ。


「違う！あれはさっきの返り血で血塗れになってるだけで…」

天使晴太君はそう男に言った。説明ありがとう。


「ふーん」

男は興味無さそうにそう声を出し、私に近づく。



助けてくれる…？

そう思ったが、すぐに違うと悟った。


…だって、この男…


笑顔なのにすごく冷たい表情で


「面倒だな」


そう言って、腕を振り上げるのだから。



『ッ！！』


───殺される

そう思った瞬間、お腹の痛みなんてものともせず、身体は勝手に動いた。


ベコンッッ！！


───それは、私のフライパンが凹んだ音だった。



「…へぇ」

男は目を開き、口角を上げる。


……私は、間一髪、男の拳をフライパンで受け止めたのだ。


戦経験のおかげで素早くフライパンを出した自分に賞賛したいのだが、それよりもこのフライパンを変形させたこの男の拳に戦慄が走る。


…このフライパン、すっごく丈夫なやつなんだけど。

一応、刀とも戦えるくらいのやつなのに…。


本当にこの男、何者！？


「君、結構やるね。その怪我治ったら…俺と一戦やろうよ」


…絶対勘弁なんですけど。

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