酔った彼氏の本音【鬼滅の刃】【短編集】

獪岳ー優しい ページ27

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彼氏は口が悪い

口を開けば「ゴミ」「カス」「ブス」と、罵られ蔑まれる



最初に出会った頃よりは減ってきているが、強めに「ブス」と言われると

さすがに落ち込む。






「ちょっとくらいさぁ、好きだよとか愛してるとか言えないのあの子は！」





やけ酒というやつだ

柱稽古が終わり、同じ隊士達は皆眠りについてしまい

一人だけ縁側で酒を嗜むという、お洒落なことをしている



だが思い浮かぶのは獪岳のことばかりで、嫌になる。




その時ふと目の前に影が落とされた

人影の正体は最近仲良くなった一般隊士の人だ。




「あ、あの。Aさん、ちょっといいですか？」

「大丈夫だよ｣





「あの、前々からお話したいことがあって」






やばい、頭がフワフワする、酒飲みすぎたか

頭がはっきりしないから会話の内容も入ってこなくて、瞼が重力に逆らえない





「………、聞いてましたか？」
「ご、ごめん。なんだっけ？」



「酒に酔ってるんですね、いつもと雰囲気が違くてちょっとビックリしました。」

「酔ってないよ、ちょっと考え事してたの｣




もう既に空になった瓶を振り回す、何か言いたげだった彼は意を決したのか

口を重々しく開いた






「Aさん、あの、俺…」




瞬間、その隊士は突き飛ばされ地面に尻もちをつく

突き飛ばしたのは、




「おい、人の女に手ぇ出してんじゃねぇよ」



獪岳だった。




いつもよりも髪が乱れていて、目が虚ろに揺れている

開ききった胸元からは、赤く染った筋肉がのぞいていた





「大丈夫ですか！？」
「あ、ありがとうございます…」




先程までの酔いがいっきに覚めていき

突き飛ばされた隊士に思わず駆け寄って手を伸ばす





「おいグズ、今度Aに話しかけたら殺すぞ。」

「ひぃっ、す、すみませんでしたぁぁあ」




一目散に逃げていく

一方で私は、この気まずい空気から一刻も早く逃げたかった。





「おい」
「は、はい。」




「なにしてんだよ」

「ちょっと晩酌しながら話してただけで深い意味は…」






獪岳は無言で私の隣へと腰を下ろして、肩へと寄りかかる

なぜだかいきなり可愛くて、心がギュンっと締め付けられた







「獪岳…？」
「……」


「ふふっ、髪があたってくすぐったい」
「……」





赤く染った頬、酒の匂い、火照った身体

やはり彼は酔っているようだ。






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