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no-side。
「中学の二年の終わりに遅気にかかったんだ」
「っ、、、!?」
「怖かった。不安でどうにかなりそうで、中学三年で部活に出なかったのはそれが理由。それと、風舞に来たのも」
「毎日、治らなかったらって考えただけで泣く時もあった。同時に、そんなに弓が好きだったのか、って驚いたけど」
「、、、弓を好きになった理由は、二階堂だ」
「逃げたのかもしれない。けど、捨てたつもりも、捨てるつもりもないよ」
「_____だって今も、前みたいに君と話したいって思ってる」
「ッ!」
二階堂はまた零れそうになった涙を堪えて、拳を膝の上で握り締めた。
「(今更、なんだよ、、、ッ)」
・
「うん、なかなか収穫のあった合宿じゃった」
「はい。来たかいがありましたね」
水景に対して、二階堂は一向に受け答えをしてくれない。蟠りはまだある。それでも、停滞していた関係が動き出したのは確かだった。
最終日の練習も終わり、日が暮れ始めた頃。
「も、もし宜しければ、、、俺と付き合って下さいっ!!」
「わ、告白。やっぱ好きだったんだね」
「みたいっすね」
「ごめんなさい、、、今は仲間たちと、大切な時間を過ごしたい」
妹尾にフラれて、先輩二人に飛びついている大田黒を見て、皆苦笑や微笑みを浮かべていた。
水景は二階堂の背に声をかけた。
「二階堂」
「、、、」
ゆっくりと振り返った二階堂へ、水景は弾けるような笑みで言ったのだ。
「またね!」
「!」
『またね!永亮』
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作者名:co2 | 作成日時:2023年6月12日 23時