38話 ページ42
A視点
「棘」
「と、げ」
「と、げ？」
そうそう、偉い偉い、と膝に乗せている棘の頭を撫でる。
そんな僕と棘を兄さんは笑顔で見つめていた。
「本当にAに任せて良かったよ」
「なんで」
「だって__」
棘もお前も幸せそうだ、と頭を撫でてくる。
僕はなんだかむず痒くて、やめてよ、と手を払い除けた。
こんな時ばかりは僕の呪言が弱いもので良かったなと思う。
兄さんは、はははっ、とずっと笑っていたのだが、自分の撫でた手、僕、棘を順番に見ると、急に真面目な顔になり、視線を落とした。
「A、俺、呪詛師なんだ…」
「知ってたけど」
「え」
何を言い出すかと思えばそんな事か。
「なんで…？」
「逆に隠す気あったの？」
バレバレだったよ、と言うと、兄さんはマジかぁ……！！と頭を抱える。
「俺の汚い手じゃお前らに触れられないって言うところまで考えてきたのに！」
「兄さんに隠し事は無理。」
僕がそう言うと、僕の腕の中にいる棘も「むりー！」と言っていた。
兄さんはオーバーキルされた。
「ていうか兄さん、いつ離婚するの？」
「ゔっ」
僕がさらに痛いところをつくと、兄さんは分かりやすく目を逸らす。
兄さんの奥さん、つまり棘の母親である女は浮気していた。
僕が棘を連れて買い物に出ている時に、知らない男と手を繋いで歩いているのを見た。
また別の日は違う男とキスをしていたり。
僕が問い詰めると、「結婚してるのはあの人だけよ」と開き直られた。
兄さんもそれに気づいていたようだが、「いや…可哀想だし…」と渋っている。
僕は兄さんに幸せになって欲しいのでその女とは別れるようにずっと言ってきたのだ。
「分かった…腹をくくる！このままじゃ棘の為にも、あいつの為にもならないからな」
「それに、もう組織も抜けようと思ってたし」
安心しろ！これからは呪術師として、お前らを守っていくからな、と兄さんは笑顔で言う。
__呪詛師も呪術師も、どっちでも死にやすいじゃんか…
けどまぁ、これなら棘はまともに育ってくれそうだ。
「じゃあ兄さん、別れる電話」
「え、今…？」
「今しないと兄さん後回しにするでしょ？」
ヴッ、分かりました……。と言うと、兄さんは渋々女に電話を掛けた。
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nanox(プロフ) - 三毛猫さん» コメントありがとうございます。申し訳ありません！編集の時に間違えて全体公開してしまってまして……もう外したので大丈夫だと思います！わざわざありがとうございます！嬉しいです。 (2021年4月17日 3時) (
レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。棘君と主人公君とのほのぼのとした日常がとても癒されます…宜しければ続編の保護パスワードを教えて下さい。このご時世の中ですがお体に気を付け下さい。いつも素敵な小説をありがとう御座います。 (2021年4月16日 23時) (レス) id: d0bea6ab41 (このIDを非表示/違反報告)
nanox(プロフ) - EVENINGさん» コメントありがとうございます。実はマフラーの色は作者が優柔不断すぎて未だに決められていないんです…。青や黒など落ち着いた色を普段使いしてそうなイメージですね。季節や気分でも変えると思います。曖昧ですいません… (2021年3月26日 22時) (レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - 下のコメント間違えましたすみません。マフラーの色何色がいいですか？これからも頑張ってください。 (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - あの、マフラーの色は何色ですか？ (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：nanox | 作成日時：2021年2月28日 23時
