35話 ページ39
五条視点
「俺らってそんな頼りないですかー?」
よっ、と呪力切れで崩れ落ちる先生をなんとか受け止める。
細い路地裏の更に奥。
如何にも敵のアジトですって感じの廃ビル。
硝子が、先生が抜け出してるから追いかけてこい、と怒っていたので後をつけていたのだ。
「傑!せんせーも子供も生きてるぞー!」
せんせー死にかけだけど。
「ああ、他の人はしっかり全員死んでる!」
後から生存者の確認をしながら来た傑。
この建物にせんせーと子供以外生きた人間はいなかった。
ま、呪術師にまともな奴はいないって言うし、せんせーもちゃんと狂ってたってことだろう。
「は?お前が子供持つのかよ」
「はいはい、代わればいいのかい?」
「せんせー横抱きにしようぜ!起きたとき面白そう」
なんて騒いでたら起きたのはせんせーでなく子供の方だった。
「たかな!?」
そいつはせんせーを視界に入れると、驚いたように目を見開き、ジタバタと動き出す。
「ちょっ!暴れんなっ」
つなっ、つなっ、と瞳を潤ませ懸命に短い手を伸ばすため、腕から落としそうになる。
「大丈夫、先生は寝てるだけだよ」
ほら、と傑はせんせーが呼吸をしていることを子供に確認させる。
すると子供は安心した様に落ち着いたが、直ぐに「めんたいこっ!」と俺でも分かるくらい警戒して腕から降りる。
__そりゃ、誘拐犯だと思うか…
「あー、俺ら、生徒。Aせんせーの。」
ほら、あん時の救急箱の…とその子供、棘と目を合わせて話をする。
するとその時のことを思い出したのか、納得した様な表情になり、「つなー、つな!」と頭を撫でてくる。
「は!?」
「ハハハッ、えらいえらいだろッ!」
「お前もう立てるなら自分で歩け!」
棘は笑顔で「しゃけ」と返事をした。
高専の保健室。
棘に大きな怪我はなく、今回の件で傷付いたのはせんせーだけだった。
目覚めたせんせーは硝子と夜蛾先生にこっぴどく叱られた様でしょんぼりしていた。
「爆弾の時も息子の時もどうして自分が犠牲になる様な動きばっかすんの?」
全身包帯まみれでベルトでベットに固定されているせんせーに質問した。
「爆弾の時、俺が無限使って盾になれば被害ゼロだし、息子ん時も俺か傑に言えば良かったじゃん」
せんせー馬鹿?と聞くと、せんせーはどこか満足げ。
「僕のエゴですよ。」
僕が大切な人の為に死にたいんです。
そうせんせーは綺麗に笑った。
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nanox(プロフ) - 三毛猫さん» コメントありがとうございます。申し訳ありません!編集の時に間違えて全体公開してしまってまして……もう外したので大丈夫だと思います!わざわざありがとうございます!嬉しいです。 (2021年4月17日 3時) (レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。棘君と主人公君とのほのぼのとした日常がとても癒されます…宜しければ続編の保護パスワードを教えて下さい。このご時世の中ですがお体に気を付け下さい。いつも素敵な小説をありがとう御座います。 (2021年4月16日 23時) (レス) id: d0bea6ab41 (このIDを非表示/違反報告)
nanox(プロフ) - EVENINGさん» コメントありがとうございます。実はマフラーの色は作者が優柔不断すぎて未だに決められていないんです…。青や黒など落ち着いた色を普段使いしてそうなイメージですね。季節や気分でも変えると思います。曖昧ですいません… (2021年3月26日 22時) (レス) id: 12e3c64050 (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - 下のコメント間違えましたすみません。マフラーの色何色がいいですか?これからも頑張ってください。 (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
EVENING - あの、マフラーの色は何色ですか? (2021年3月26日 22時) (レス) id: 59440097ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nanox | 作成日時:2021年2月28日 23時