はじめまして。 (ページ6)

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ちかいページ6

「ねえ、キヨくん」

「な、なに」

「距離おかしくない…？」

可愛い顔を歪ませて、悲しそうに問われる。違う。好きな子が近くにいるのが恥ずかしくて、耐えられない。ただそれだけなんだよ。

数学の時間。教科書を見せてもらうことになり、席をAの席とくっつけた。のはいいものの。いつもとは違う距離感に緊張してしまった。

離れられるだけAと離れるように座っている俺は、Aからすれば自分のことを嫌っているように捉えられていたりするのか？実際真逆だ。好きだから避けてしまっている。

「席、離す？」

違う。それはいやだ。

「いやだ」

咄嗟に机にかけられていたAの手をつかんだ。

瞬間、Aの顔に赤みがさす。

「そ、そっか。よかった…」

安堵に満ち溢れた顔でこちらに微笑むA。かわいい。

「…その、なんつーか。いつもより近くて緊張しただけであって、Aのこと嫌いになったとかじゃないから…」

いってしまった。きもいと思われたかもしれない。今更だが、後悔に駆られる。

「………ん、よかった。それなら」

顔を真っ赤にしてぼそっと呟く声をちゃんと拾った。

結局その後の授業内容なんてものはからっきし頭にはいっていない。