絶対零度の死神

8人目　犯人 ページ8

あれからどれくらい経っただろうか?
物音は聞こえなくなった。

――静かだ。

「…みんなは…。」

零一郎は、部屋から出た。






廊下は静まり返っていた。
誰もいないかのように。

「!」

零一郎は人を見つけた。
だが…。

「…生きて、いない…?」

奥に進めば進むほど、その数は増える。

――目を、逸らしたくなるほどに。

「……父さんは…。」

…まさか。

零一郎は、総汰の部屋へ向かった。







総汰の部屋に明かりがついている。
…誰かがいるようだ。
零一郎は部屋にそっと近づき、聞き耳を立てる。

「――奴らはなぜ、総汰様を狙っているのでしょうか?」

部下の声だ。
と、いう事は、総汰はまだ生きている。

「…思い当たることがある。」

総汰の声。

「思い当たること、とは…?」

総汰がため息をつく。

「…8年前まで、イタリアで勢力を伸ばしていたマフィアを知っているかい?」
「あ、はい。
　確か、そのマフィアのボスは何者かによって殺されたんですよね?
　それと、どう関係が?」
「彼には妻と息子がいた。
　妻の名前は『神代 雫(しずく)』。」


――――『神代』?

「ま、まさか…。」









「そう、零一郎の両親だ。
　私は…、零一郎の両親を殺したんだ。」

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