とある横浜の超電磁砲【文豪ストレイドッグス(原作沿い)】【とある科学の超電磁砲】

超電磁砲27 〜治療〜 ページ31

場所は探偵社の医務室。

敦と国木田は真っ白な二つのベッドの間に座っていた。

すやすやと気持ち良さそうに眠るナオミ。

時折「ひ…ッ！」と短く叫んで身を捩る谷崎。

しかし、敦の頭の中には太宰に云われた言葉だけが止めどなく反響していた。

ー云わば君の巻き添えだー

ー自分でも薄々気付いているんだろうー

確かにそうだ。

気付いてはいた。

ずっと前から判っていた。

でなければ何故自分だけが孤児院から追い出されたのか。

ただ、気付いている事に気付きたくなかった。

国「気に病むな、小僧」

時間が経つ毎にだんだん表情が暗くなっていく敦に国木田が口を開く。

国「あの状況下で、無事に帰ってこれた事が不幸中の幸いだ。

…あの時あいつが助けに行かなければ、今頃どうなってたか…
今回ばかりは、あいつに礼を云わねばな」

眼鏡を上げて手帳の文字を目で追いながら国木田が云う。

敦「…あ、あの、夜月さんは……今…」

国「無事だ。隣で与謝野先生の"治療"中だ」

貴「ぅわぁぁぁぁぁぁぁぁああああ！」

奥の個室から悲痛な絶叫。

其れと共に何か痛々しい物音も聴こえる。

敦「…治療中…？」

明らかに"治療"とは程遠い物音に疑念が深まる敦。

国「聞いたぞ小僧。
七十億の懸賞首だと？
…出世したな、マフィアが血眼になる訳だ」

はっと気付いた様に敦が叫ぶ。

敦「そうです！どどうしよう！
マフィアが探偵社に押し寄せて来るかも！」

国「狼狽えるな。
確かにポートマフィアの暴力は苛烈を極める。
だが動揺するな。
動揺は達人をも殺す。
師匠の教えだ。」

冷静な国木田に、敦は先程から気になっていた事を告げる。

敦「あの…
手帳逆さまですよ」

痛い沈黙。

国木田は一瞬フリーズしてからゆっくりと手帳を回転させ、敦を見詰める。

国「俺は動揺などしていない！
マフィア如きで取り乱すか！
例え今此処が襲撃されようと俺が倒す！
あれをこうしてこうばしっと動きいい感じにぐっとやって倒す！」

一息に此処まで叫んだ国木田を茫然とする敦。

敦「(国木田さん相当焦ってる！
説明がワヤワヤだ！！


…それだけ探偵社の危機って事だ。

…僕のせいで…)」

胸が、心が、痛くなる。

其れを紛らわす様に拳を握り締める。

国「お前が招き入れた事態だ。
自分に出来る事を考えておけ

処で小僧。


俺の眼鏡を知らんか？」

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