◇ 令嬢 ページ26
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「知ってるわ。最近勢いに乗ってきたサッカーチームって聞いてるし、…言ったでしょう。Aから聞いたってね。
それで？貴方達はあの子を説得しに来たんですって？ 」
「はい！…Aがサッカー部に戻れるように―――」
「悪いけど」
円堂の言葉をピシャリ、と遮った一紗は冷たい目をしながら円堂達を見据える。
そして、口を開いた。
「あの子をサッカー部に戻らせる気はありません。」
「…！っ、どうして…」
「貴方達、ココ最近家によく来てるわね。それも多分、あの子を説得だとかするためなんでしょうけど。
この際だから、はっきりいってあげるわ。
あの子には、今後一切…いえ、一生！サッカーに関わることをさせません。」
「「「「―――！？」」」」
サッカー部に戻る愚か、サッカーに関わらせないという言葉に円堂達は驚愕する。
円堂は反射的に母親に向かって吠えた。
「ちょっと待って下さい！Aが一生サッカー出来ないなんて…！！」
「…聞いていないのかしら、Aは他の学校に転校するのよ。これはもう決定事項、覆せない事実。」
「転校とか関係ありません！！サッカーが出来ないなんて…！！」
一度事故にあったことのある一之瀬は、悲痛そうな顔をして呟く。
…母親の表情が、少しだけ哀しみを帯びたのに誰も気付かなかった。
否…2人、いたが。
「Aはサッカーに熱いやつなんです！！だから――――――…！！」
「それは貴方が勝手に解釈してる事でしょう。
それにね、貴方わかってるの？あの子は神童財閥令嬢で一人娘。何れ此処を次ぐ存在になる…そんなあの子が、サッカーを優先するなんてあってはならないこと。」
「ッ、俺は、跡取りですがサッカーを優先しています…！」
「君は…、ああ、名前に聞き覚えがあると思ったら鬼道さんの所の子ね。それは貴方の父親が決めたのだから否定しないわ。けれど、ここの問題はここだけの問題。
他は関係ないわ。」
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2024年2月8日 3時
