◇ 同じ赤い目に ページ15
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鬼道 有人side
あの後、円堂を俺の家へ招いた。
そして話したのはなんで俺がサッカーを始めたか。
俺の両親の事。
…家族が残してくれた、たった一つのサッカー雑誌。
俺の中でサッカーは、「勝てなきゃいけないもの」になってしまったこと。
円堂も自身のサッカーについて話した。
円堂のお祖父さんは寝ても覚めてもサッカーのことを考えているような人だったらしい。
「お前のお祖父さんも、お前と同じでサッカーバカだった訳か…」
「え、俺サッカーバカなの？」
…自覚ないのか。
「でさ！そのじいちゃんの特訓ノートやなんかを読んで、俺もボールを蹴り始めたんだよ。だから、俺とお前と同じだろ？」
「お前と同じか、…」
「何だよ、嫌なのか？」
「…いや、そうじゃない。」
円堂は徐に立ち上がる。
帰るのか、と思えば棚を見て疑問の声を上げた。
「？あれ、これさっきのとは違う雑誌？」
「…ああ、その雑誌か。」
俺は円堂の元まで行き、その雑誌を手に取る。
そして、パラパラとページを捲りあるページを開いた。
そのページを見て、円堂は驚いた様に声を上げる。
「えっ、これAじゃん！！」
「ああ、…俺の、憧れなんだ。」
「憧れ…、？」
…初めて見たのは、小学生の時だった。
同い年の中で俺と同じポジション、しかも女子でプレーをする奴がいると影山から告げられた。
そしてその女子が出る試合へと、影山に連れていかれた。
――― そこで、俺は見惚れてしまったのだ。
思うままに試合をコントロールする光の線
仲間に寄り添い、指揮を上げるカリスマ性
対戦相手を見つめる俺と同じ赤い目
…この時ばかりは、自身の赤い目を心底嬉しくなったな。
俺の中で、「憧れ」という言葉がストンと落ちた気がした。
だからこそ、中学一年生になった時行方が知られず驚いたが。
「だから、雷門との練習試合の時神童を見かけた時は心底驚いたよ。」
「へぇー…でも、鬼道とAってなんか似てるよな！」
似てる…？アイツと俺が？
確かに同じポジションだが、似てるところと言えば赤い目くらいじゃないだろうか。
その疑問が顔に出ていたのだろうか、円堂は笑いながら語った。
「Aはさ、いつもみんなの背中を押してくれて俺達を引っ張ってくれるんだ。
鬼道も、帝国の奴らを引っ張って行ってるだろ？だから二人は似てる気がする！」
「…そうか。」
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2024年1月3日 22時
