何があっても…家族だから～第二章上～リメイク版 (ページ21)

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＊53＊　晴れ、終結＿挿絵ｱﾘページ21

「何？みんなしてあたしの邪魔するの？早く行かないと、ルッス姐死んじゃう。あたしなら助けられるのよ。あたしが…！」

　あぁ、何口走ってるんだろう。助けられるはずない。僕には、どうしようもできないはずだ。きっとまた僕はおかしくなってるんだろう。冷静な頭と混乱した思考が分離していく感じがする。まるで自分を俯瞰して見ているよう。さっきまで全然見えていなかったみんなの驚いた顔がよく見える。
　また、声が聞こえた。だめだよと。このままでは壊れてしまうと。でも、だって、自分じゃもうどうしようもない。
　その時、首の後ろに強い衝撃を感じた。

「っ？！す、く…っ。」

「悪いなぁ…A。」

　苦しそうなスクアーロの声を最後に、僕の意識は途絶えた。

「A！！」

「テメェ・・・！」

　沢田綱吉とその守護者が騒ぎ立てる。うるせぇガキ共だ。こっちだって本意じゃねえんだよこんなこと。

「う゛ぉぉい！うるせぇぞぉ！！…女、終わらせろぉ。」

　催促したオレにチェルベッロは終了と次回の対戦カードを告げ姿を消した。同時にヴァリアーの面々も去る。それから少しして沢田綱吉がびくびくしながらもオレの下へ来て、Aを渡すように言ってきた。こんな雑魚共の中にこいつを返さなくてはいけないと思うと苛立ちは収まらなかったが、ボスの命に逆らうわけにはいかない。

「…当たり前だガキがぁ！」

「あ、あの…一つ、聞いてもいいですか？」

　沢田は青い顔で、それでもオレの目を見て言った。

「雪野さんは、ヴァリアーで何があったんですか？」

　あの動揺ぶりを見れば当然の疑問だった。しかし、本人が口にしていないことをオレから言うわけにはいかない。

「んなことは本人から聞くってもんだクソガキがぁ！」

「テメェ！10代目がわざわざ聞いてんのに…！」

「うるせえ黙れぇ！」

　今すぐ切りつけたくなる衝動を抑えてオレは言った。ほとんど無意識に、ついこぼれた言葉だった。

「…泣かせるために手放したわけじゃねえんだぁ。なのにてめえらが泣かせてんじゃねぇぞぉ。」

　…何言ってんだオレは。結局こいつを泣かせてんのはオレらだろうがぁ。
　それでも、オレの言葉を聞いた沢田綱吉は覚悟を決めたように頷いた。
　それを見てオレはその場から立ち去った。ったく。Aのせいで妙な縁ができちまったぜぇ。