何があっても…家族だから～第二章上～リメイク版 (ページ1)

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＊33＊　転校＿ページ1

「全員席付けー。ＨＲ始めるぞー。」

　担任のいつもの掛け声でその日は始まった。朝起きるところから今まで、退屈なほど”いつも通り”だ。きっとこの後もそうだろう。まぁ、平和であることが一番だから、それでいいんだけど。

「今日は転校生を紹介する。」

　…それは、”いつも通り”ではない出来事だった。
　みんなが興奮した様子で転校生について詳しく聞いている。オレはといえば、最近はリボーンを筆頭におかしな奴らが次々と出てくるから、何となく嫌な意味で緊張していた。いや、流石に考えすぎだろオレ！
　そうこうしているうちに先生が廊下に呼び掛け、転校生が入って来る。
　転校生は、銀髪の美少女だった。

「雪野Aです。イタリアから来ました。よろしくお願いします。」

　クラスが一瞬無音になった。みんな雪野さんの美少女っぷりに言葉を失っていた。かくいうオレも、その内の一人だ。しかしそれもすぐに我に返った男子生徒のお陰で歓声に包まれ、オレが呆然としているうちに彼女の席が決まったようだった。
　…て、なんでオレの隣？！

「よろしくね！…沢田綱吉くん。」

「えっ？！…う、うん、よろしく！雪野さん。」

　にっこりと綺麗な笑顔でこちらに笑いかけた彼女は、なぜかオレの名前を知っていた。…デジャヴである。

「それじゃ、１時間目は質問タイムってことで。」

　担任の授業放棄ともとれるその言葉にクラスが沸き立つ一方、彼女はというと、迷惑そうに顔を歪めていた。どうやら、オレの隣の席になった美少女転校生雪野さんは、容姿に似合わずいい性格をしているようだ。

――――

　…チャイムが鳴ってようやく今日の課程が終了した。1限目はえらい目にあった。まさか、転入早々あんなに質問攻めにあうなんて、正直想像していなかった。
　ザンザスは僕の行動をことごとく予想していたようで、彼の用意した飛行機で日本に着いた僕を待っていたのは、綺麗なアパートと、偽物の経歴と、学生生活だった。
　ザンザスの用意した経歴では、僕は日本生まれイタリア育ちで両親の仕事の都合で日本に帰ってきた帰国子女、ということらしい。全てが嘘というわけではないが、僕には両親なんていないしそもそも学校にも通ったことがないので、”転校生”でもなかった。
　だからここ、並盛中学校に来たときは気持ち悪さに眩暈がした。同じ服を着た同じ年頃の少年少女が何百人も共同生活している様子は異様でしかなかった。