三間半之槍【刀剣乱舞】 (ページ40)

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第６叩 - 04 ページ40

静まる広間で、一期はゆっくり口を開いた。

｢ま、誠に申し訳なかった。弟が一向に見つからず疲労が溜まっていたようですな……。
それで、あのようなことを口走ってしまった｣

｢一期さまの弟君と申されますと、大阪城の地下の、｣

｢ええ。弟のこととなると、つい張り切りすぎてしまいまして。
しかし、他力本願では兄の名が廃りますな。先の戯れ言、どうぞ気にせんでくだされ｣

｢あのようなこと仰らんでも、この槍でもって微力ながらお力添えいたしましたのに｣

｢はは、頼もしい。……しかし、そうではござらんのです。｣

突然力が抜けたように萎びた一期に、三間半は思わず短刀の背後から出てきて近寄った。

短刀たち、つまり一期の弟たちは頑なに三間半を後ろに庇って守ろうとしていたのだが、兄のあまりに悲哀に満ちた様子につい力が緩んでしまったのだ。

その一方、他の仲間たちは首を傾げた。…なんだか、急に感極まってないか……?

一期と三間半の言葉遣いが似ているのさえ仲間の気に障っている(もともと二人の口調は似ているのだが)のだが、なんだか雰囲気にも雲行きの怪しさを感じる。

弟のお迎えのためなら柔和な審神者にさえ頭痛と胃痛を起こさせてきたあの一期一振が、こんなにしおらしく肩を落とすだろうか？

涙でも流しそうな勢いの兄を見下ろす薬研も妙に嫌な予感がしていたが、とりあえず最後まで弁明を聞いてやろうと耳を傾けた。

｢弟は、弟はっ、短刀で、一際寂しがりでして…っ｣

｢ほ、ほうなんですか？｣

｢弟たちにとても良くしてくれる三間半が兄の側にいれば、すっかり安心して兄のもとに来てくれるのではないかと、もう、藁にも縋る思いで……はは、錯乱しておったのです、聞き流してくだされ｣

｢心中察するにあまりありますなも。ここ数日の一期様の心意気は見とりましたから…｣

あまりの深刻な様に、そっと隣に腰を下ろした三間半に宥められながら一期は、慟哭する兄を前に呆然と立ち尽くしていた薬研をふ、と笑って抱き寄せた。

｢い、いち兄、どうした？本当に疲れて…むぐっ！？｣

｢…弟は、薬研は、良い臣下をもったものだ。
三間半、どうかこの一期一振の独り言を、聞き流してくだされ。｣

｢え？ええと、それよりもう休まれた方が……｣

弟たちの前ではあくまでも凜々しく、頼り甲斐のある振る舞いを突き通してきた一期の弱々しい様に鶴丸すら瞠目した。

ぎゅ、と一際薬研を抱きかかえた一期は、伏し目がちに続けた。