三間半之槍【刀剣乱舞】 (ページ29)

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第４叩 - 03 ページ29

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｢うえー、からかったつもりはないんだけどな。
…そうだ、じゃあ、蜻蛉切の三河の“三”ならどうだ？｣

｢これは何の遊戯が始まったんだ……？｣

｢何でも良いだろ。
三、といえば“三”日月宗近か？…といっても天下五剣はここにいないがな。
うちの主の運じゃ一生こねぇか｣

｢幸運の代表、物吉も来なかったしなー。
三、三、さん…、蜻蛉切は？｣

酔っ払いというか、なんなのか。

何の理由も目的もなく｢三｣探しの言葉遊びを始めた槍達は、夕餉までこうしてだらだら過ごすことになった。

｢自分は、やはり『“三”つ葉葵』だな｣

｢徳川様ですか！さすがは蜻蛉切さまですなも｣

｢はは、光栄だ。三間半は何か思いついたか？｣

｢“三”つ頭、はどうでしょうか｣

｢我ららしいな。良い答えだ｣

褒められて綻んだ三間半に和む蜻蛉切だったが、机の下でつついて茶化してきた日本号に強く拳を返すのを忘れない。

和んで何が悪いのだ。

｢ぐッ……南無“三”…ッ、やりやがったな、蜻蛉切｣

｢ど、どうなされたんです？｣

｢気にするな。
“三”思して後行うというのもあるな、日本号｣

｢言わせておけば…｣

｢おいおい行儀悪いぞ二人とも。三間半が真似するだろー…。
俺は、“三”叉槍っての見てみたいな。外つ国の槍らしいんだ｣

｢へえ、三叉ですか、……備中鍬みたいな槍かや？
…あ、そうだ私 “三”が日、が待ち遠しいです!｣

｢いいねぇ、酒が飲める。
…そうだ、“三献”ってのもあるな。お前さん知らねえだろ？｣

｢さんこん、ですか？｣

日本号が空にした盃を向けながら聞いてやると、予想通り彼女からは否が返ってきた。

｢…良い機会だ、教えてやるとするか、｣

机の上にあった杯を集め始めた日本号の口の端が釣り上がり、―――その企み顔に誰かが気づけば良かったのだが、そうはならないまま―――、

机の真ん中に３つの杯が等間隔で並んだ。

｢昔の饗宴の礼法…ま、武家の儀式みたいなもんでな。
肴の膳を、一献、二献、三献、とかえつつ、膳毎に大、中、小の酒杯を３巡させるんだよ｣

　節くれ立った指を、１，２，３，と順に立てた後、

　並べた３杯をぐるりと囲んで、また３本指を立てて｢３｣を示す。

武家や武士の知識が、他の刀剣に劣る三間半は、視線で彼の指を追いながら、興味津々にふん、ふん、と頷いた。

まるで、軍記物を読む少年のようだ。