特別なチカラ＿＿2 (ページ1)

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『先生』ページ1

宏太side

来る前は緊張していたが、心地のよいBGM、緑に囲まれた店内が心を落ち着かせてくれる。

櫻井先生がここを指定したの理由が、何となく分かった。

もう冷めきったであろうコーヒーを飲もうとすると、スーツ姿の男性が目に入った。

「櫻井先生……ですか？」

「はい、そうです。」

櫻井先生は、「ごめんね？待たせてしまった。」なんて言いながら俺の真正面に座った。

先に定員さんに言っていたのだろうか、すぐにコーヒーが置かれ話し合いの場が整った。

「俺は……」

しばらく続いた沈黙を破ったのは、櫻井先生だった。

どんな話が始まるのだろうか。

「『贔屓だ。』そう言われたことがある。もしかしたら君も……言われるかもしれない。」

「『贔屓』？」

「そう、『贔屓』。涼介と他の生徒の対応が違うってね……。」

櫻井先生は、遠くを見つめ過去を思い出しているようだった。

「涼介は、特殊なチカラをもっていることをクラスの人に隠している。」

「だからこそ……難しい。」

「物分りがいいね、そういうこと。」

涼介くんがクラスに来るということがどんなことか、少し分かった気がする。

特殊なチカラのある涼介くんに何かあったら……と考えるとつい涼介くんばかりに目がいってしまう。

それが……『贔屓』と言われることに繋がるのだろう。

「過去の話をしようか。」

そう言って櫻井先生は過去の話を始めた。