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「あれ、藤井ちゃんのとこ行かなくていいの?」
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浮所くんの後ろから那須くんもやってきた。
体育祭だからか、2人は片耳に編み込みをしていて
まるで双子のようだった。
といより、いつもより浮所くんの顔がダイレクトに見えて
少しドキドキするというか、嬉しいような恥ずかしいような。
そして真美ちゃんと、いつの間にそんな中になったのか。
那須くんは、なあくんの事を”藤井ちゃん”と呼んでいた。
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「え、それ私に行ってる?」
「うん」
「なんで私なのよ、女の子にチヤホヤされてたくせに」
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真美ちゃんと那須くんが会話している横で、
ガタンっと落ちたそれを取る。
話を聞きながら、キャップを開けて
オレンジジュースを流し込む。
暦的には秋なのに、まだまだ続く夏日。
そんな体を覚ます様に冷たいオレンジジュースが喉を通る。
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『ひとくちちょうだい』
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そんな横で浮所くんがそんなことを言って
私の手元からオレンジジュースを取る。
そしてそのまま自分の口に付けて飲み始めた。
…え。ええええ。これって間接キス!?
ちょ、と待って。え、っと………。
いやいや気にしてるのなんて私だけで。
きっと浮所くんにとっては日常茶飯事な出来事なんだよきっと。
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『うまー!』
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ほらね。美味しそうに眼を見開いて飲む姿はまるでCM。
きっと気にしてないんだろう。
私ばかりドキドキして少し悔しい。
…だからといって浮所くんの行動を上回る事なんてできないんだけど。
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『なんか間接キスみたいでドキドキするね!』
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なんて思っていた矢先、くしゃっと笑って照れたように
右手を口に添えて言い出す浮所くん。
驚いて顔を合わせると、とんでもないくらいの可愛い笑顔に
胸が高鳴った。
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「こらーイチャイチャすんなー」
「私たちもいるぞー」
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私たちの会話を聞いていたのか、
冷めたような視線を送っていた。
あ、たしかにそもそもイチャイチャするとか
そういう概念が無くて
これが彼のスタンダード?
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「……ん?」
『ん?!』
「あーううん、なんでもない」
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”それあげるよ”というと素直にお礼をして受け取り、
左手で持っていた。左手についている黒いヘアゴムはいつ使うのだろう。
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『暁』
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彼が私の名前を呼ぶ。
待ってましたと言わんばかりに、
私の鼓動は早くなる。
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(あ!いたいた!)
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彼が何かを言いかけたとき、
彼を探していた女の子達が集まってきて
それに反応するように私はその場を立ち去った。
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Shiro.(プロフ) - 梨乃さん» 感想ありがとうございます!励みになります、うれしいです!!! (4月10日 11時) (レス) id: 5a97038d8f (このIDを非表示/違反報告)
梨乃(プロフ) - ものすごくキュンキュンしました!続きが楽しみです^_^ (4月8日 8時) (レス) @page36 id: 5cceb5056f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shiro. | 作成日時:2024年2月26日 22時