きっとこの手を離さないで。2【名探偵コナン×呪術廻戦】

Ep.64 ページ21

　
　
　
　
　
　
　初めて見た、いわゆる化け物は、想像以上に気味が悪かった。あぁ、そりゃあんだけ怖がるわけだな、と妙に納得がいった。

　バケモノに対抗する術を身につけていて、可笑しくはない。


　Aが背負っていた袋から武具を取り出したことに、不思議にも俺は何も疑問を感じなかった。むしろ全てが繋がったような感覚を覚えた。


　だから、お前はこの手を離したのか。




「……っあるよ！！！」


　行くな。


「……それ、タイマーがあるってことは時限付きでしょ。私がアイツ追うから、陣平くんは早くそれ解除して」



　お前が離れていくなら
　俺がその手を掴みに行くぞ。







　爆弾を慎重に、かつ迅速に解体を進める。途中で刑事課と爆処もやってきた。
　爆弾の解体を完了させるや否や、俺はアイツの安否を確かめに走り出していた。



「ちよっ、松田さん！？」

「どこに行くのよ！」



　高木と佐藤の声を無視して、階段を登る。足音が大きく響く。ひたすらに冴の姿を探す。
　最後の最後、屋上へ続く扉を開く。

　その先に、いた。

　血塗れのAが倒れていた。

　ポッキリと折れた武具。
　所々破れた洋服。
　出血の激しい腹部。

　痛々しい。
　血相を変えて俺は近づく。



「おい！A！」


「ちょっと松田くん！？どうし……」

「佐藤！救急車を呼べ！」



　俺を追いかけてきた佐藤が背後で息を呑む音がした。高木が電話をつなぐ声を聞きながら、冴に声をかけ続ける。



「A！起きろ！」

「こんなところで死ぬんじゃねぇ！コノヤロウ！！」



　脈が、どんどん弱まっていっている気がしてならない。

　なぁ、お前が言ったんじゃねぇか。
　離すなって、お前が言ったんだろ。

　俺は、この手を離さない。
　あの世になんて、行かせはしない。



「A！」

　
　
　

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