三十八話 ページ42
｢うがあああああ！｣
大神くんの元へと駆け寄れば、彼は自力で縄を解き、猿轡ならぬ犬轡を吐き捨てていた。
吠えるように声をあげれば、さきほどまで何やら深刻な話をしていた氷鷹くんと朔間先輩がこちらの様子を見た。
｢おや、わんこ。猿轡を噛ませたうえに縄で縛っておいたのに、自力で脱出するとは。成長したのう……｣
｢テメ〜っ、好き放題にしやがって！何考えてんだコラァ、もう我慢出来ね〜ぞ！ぶっ殺す〜！｣
｢落ちつけ、わんこ。敵を見誤るなというのに。あまり誰彼構わず噛みつくようでは、保健所に送るぞ？
落ちつくがよかろ。ほれ、おいしい駄菓子をやろう……｣
｢がぁあ！馬鹿にしやがって！｣
どこからともなく差し出された駄菓子。
よく見る10円で買えるような棒状のスナック菓子だ。ここの購買で買ったのか、異空間に繋がっているポケットから出されたのか、まあそんな事はどうでもいい。
大神くんは苛々を隠せず、爆発でもしたかのように怒鳴り散らしていた。
｢ていうか、何でその女と……A組のアホどもが軽音部の部室にいるんだよ！
テメ〜ら！俺様の聖域に、気安く踏みこんでんじゃね〜よ！
とーくーに、お前！昨日勝手に入ってんじゃね〜って言っただろ！｣
｢うっ、…僕？｣
突然、指を刺され私の元へとズカズカ歩み寄る大神くん。確かに、勝手に入るなだの、用が済んだら出てけだの、言われた記憶がある。
だけど、私だけ怒らなくても良くない？と少し思った。
目の前の大神くんの肩越しに、ほう…。なんて何やら頷く朔間先輩が見える。そんなところで納得していないで、助けて欲しい。
｢ううむ、いちから説明するのは面倒じゃのう……
おぬしが転校生の嬢ちゃんに迷惑をかけたというから、『ごめんなさい』する機会をつくってやったのじゃよ？｣
｢頼んでね〜よ、そんなこと！
つうか俺様は悪くねぇっ、ボケっと突っ立ってたその女が悪いんだろうが！俺様は絶対に謝らね〜からな！｣
怒りの矛先が朔間先輩へと再びもどる。
｢くくく。気に病んでおったくせに、そういうところは繊細じゃからのう
わんこがほんとは優しい良い子であることを、我輩は知っておるよ……｣
｢殺す〜！｣
まあまあ、落ちついて、と双子に止められる大神くん。
なんというか、やはりここの部員は先輩後輩などの関係には見えない。
愛し合いすぎて、逆に拗らせたような。
とりあえず、こんな状況の学院でも、仲良しなんだと思う。
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斉賀(プロフ) - 作品とっても面白いです！朔間さんカッコいい応援しています。 (2018年9月23日 23時) (
レス) id: cc12e08766 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - 夢花さんコメントありがとうございます。そしてすみませんでした；；あながちと読むんですが、どうやら変換ミスをしてたようです；すみませんでした！反省の意を込めて一度棺桶に入ろうとおもいます！ (2018年9月22日 21時) (レス) id: 859ce7d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - 夜月さん» 夜月さんコメントありがとうございます！とても嬉しいです＾＾そして、ダイヤがない時は魔法のカードに頼るのがよいのでは？（笑）← (2018年9月22日 21時) (レス) id: 859ce7d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - うん…まあ確かに人が棺桶から出てくるのはシュールだね……ww想像したら笑えてくるなコレw (2018年9月22日 19時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 作者さんに質問です。十二話の「間違ってはいない」の前の文字はなんと読むのでしょうか…コピペして調べてみたのですが、その後に「間違っては」とついても違和感のない読み方が分からなかったのと、このスマホではこの漢字が認識されませんでした。 (2018年9月22日 18時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：丸 | 作成日時：2018年9月15日 2時
