【立海】私の理想は現状維持 ２

現状維持38.0% ページ38

柳「そろそろ俺達も部屋に行くか」


柳は私の隣の席から立ち上がり、こっちに向き直って言った。



貴「そうだね。私達も準備あるし」


続いて私も立ち上がりながら言うと、柳は首を少し傾けた。


柳「ほう、マネージャーも準備なんかするのか」


貴「馬鹿にしてるの？」


さっきまではこの人悪い人ではないのかな？と思ってた私の気持ちを返して欲しい。

と、そう思っていたら柳は静かに笑った。


柳「冗談だ。お前がいつも学校で平部員のサポートをとても良くしてくれているのは知っている。



“ありがとう”」





前言撤回。やっぱり“割といい奴”。
現金な程に、私はありがとうって言葉とかに弱い。



それにしても、柳っていう人がいまいち掴めない。
ついさっき＿＿否。今もだけど、私は立海の奴等を嫌っている。

でも、妙な態度と反応のこの男、柳に関しては他の立海の人達とはまた違った印象だ。



嗚呼、おかげでさっきから調子が狂わされまくりだ。



貴「……まぁ、どういたしまして」



ただ単にぶっきらぼうに言うつもりが、なんだが自分の方が気恥ずかしくなって若干最後の方の声が裏返ってしまった私は、それを隠すように慌てて繋げた。


貴「柳っ。…柳＿＿なんだっけ、君」



柳「蓮二。柳蓮二だ」



貴「柳蓮二、ね。覚えとく」


何故こんなことを聞いたのか自分でもよくわからなかったけれど、覚えていても損は無さそうだった。


そんな私の言葉に柳も驚いたのか、いつもの糸目を少し見開いた。


柳「それは光栄だな。それじゃあ俺は先に行くぞ、これからよろしく頼むな」


そう言っていつもの糸目に戻った柳は同時に口を弧の形にさせた。
そうしてなんだか全体的に顔のパーツが細くなった柳は私の頭に軽く手を触れてから先に中へと戻ったて行った。









貴「意味わかんない」




ベンチ前に立ちながら1人そう呟く私の今の顔は、他者からみたらどことなく嬉しそうな顔なんだろうな。




ちゃんと合宿中皆のサポートを頑張ろう。
と、そうより強く思った。

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