不発の理由 ヒロト妹side ページ40
音葉︰お喋りはそこまで！
海音︰もう一発かましちゃうもんね！
そう言うと二人は、またパワーを集中させた。
音葉︰今度こそ終わりよ。
海音︰次は外さないから。
音葉︰エナジー……！！
海音︰スプラッシュ！！！
瞬間、何が起こったのか、彼らの放ったエナジースプラッシュは、水飛沫の如く弾けとんだ。
海音︰なんだ？
音葉︰どういうこと？
彼らも何が起こったのか理解していないようだ。
ヒロト︰どうしたんだろう……？
星奈︰不発……？
お互いに混乱している中、彼らが急にガクッと膝をついた。
海音︰ぐっ……な、なんだよ、これ……
音葉︰やだ……力が……入らない……
？︰あら、もう効果が出ているのね。
ふと、奥の廊下から声が聞こえた。
おっとりしたその優しい声には、聞き覚えがある。
音葉︰お姉、様……？
海音︰おい…！なんなんだよ、これ…！
星奈︰琴音ちゃん！
奥から姿を現したのは琴音ちゃんだった。
ただ、いつもと全然違う雰囲気を纏っている。
声はそのままなのに、暗く淀んだ光のない瞳のせいか、まるで別人のように見える。
琴音︰あら、星奈ちゃん。戻ってきちゃったのね。今度こそ捕まえちゃうわよ？ま、今はいいかな。
海音︰おい…！俺らに何をした…！！
琴音︰ごめんなさいね。あなた達の持つメロディの力を、あの二人に供給しているの。
音葉︰ど、どういうこと……？
琴音︰簡単に言うと、優也と梨紗と馨以外の皆から、力を分け与えて貰っているってところかしら。もう全然力が入らないのは、ヘッドホンを通して、あなた達の力を吸い上げてるからなの。
音葉︰待ってよ…それって……
海音︰俺達どうなるんだよ…！
琴音︰そうね、しばらく動けなくなるかもしれないわ。
音葉︰そんな……
琴音︰お父様にとっては、所詮捨て駒なのよ、あなた達は。
海音︰っ…！ふざけんな…！！俺達は、適合者だぞ！！この学園の為、メロディマスターになる為に、力をつけてきたってのに…！！捨て駒だと…！！
琴音︰……………そうよ。
海音︰！！
音葉︰海音……
海音︰くそっ…！
琴音︰もう動かない方がいいわ。その状態じゃ立つのもやっとのはずだもの。
海音︰ふざけんな……！黙ってられるかよ…！
そう言うと彼は、自分のヘッドホンに手を伸ばした。
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作者名：涼水かな | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/liriuokalani1/
作成日時：2015年12月13日 1時
