ミラー・ツインズは仲良しなんです

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「ごめんねひろ…、口に物入れてる時にいきなり話ふったからびっくりしちゃったんだよね…？」
「へっ？あ、うん、そうそうっ」



これ幸いと圭吾の頭を撫でて、気にすんなよと笑いかける。



「今日は家のこと一通りやって、買い物してから勇吾とリビングでまったりして、…それからご飯作りながら圭吾の帰りを待ってたよ」
「リビング…ねぇ…」



小声で口を挟む勇吾に頬を引攣らせながら笑いかけると、オムライスを口に入れようとしていた勇吾の手がピタリと止まった。
余計な事を言うなと目で訴えると、勇吾は静かにオムライスを頬張った。



「圭吾、食後にケーキもあるからね。
甘さ控えめにしたから圭吾でも食べられると思うけど…」



無理はしないでと続けようとしたところで、圭吾の目がキラキラと輝いた。



「ひろの手作りだ…！」
「そうだよ」



普段はお菓子作りなんてしないけど、毎年この日になるとオーソドックスな生クリームのケーキを双子のために作っている。

圭吾があまり甘いものは得意じゃないからどうしても甘さ控えめで作らなくてはいけなくて、でもそうしたら甘党の勇吾が物足りなくなってしまう。
だからショートケーキを個別に買った方が良いのではと勇吾に話した事があったけど、圭吾がすごく嬉しそうに食べるから俺も甘くないケーキで構わないと言ってくれたんだ。



…こんな風に、大っぴらでは無いにしろお互いを思い合えるのなら、俺も兄弟が欲しかったな、なんて…ほんとに時々だけど思ったりするんだ。

だけど俺にはやっぱり、この双子に愛情を注ぐので精一杯だ。









ご飯を食べ終えた後はちょっと休憩してお腹を慣らせて、カットしたケーキとお茶を並べると、二人ともまた嬉しそうに頬を弛ませた。

美味しいよってきれいに食べる姿を見ていたら、なぜだか俺の口は圭吾に向けてあーんしてあげようかと言っていた。



「へ？」
「…っ、いや、何でもな…」
「あーんしてくれるの？ひろが…？
食べさせてくれるのっ？」
「あ…、えと…、……はい」



急に真顔になる勇吾が怖くて仕方ないけど、圭吾がこんなにも純粋に喜んでくれるのだからと俺は勇吾の顔をあまり見ずに、圭吾からフォークを借りてひと口掬い、口元へ持っていった。



「っ…、あ…あーん…」
「あーん、…ふふ、おいし…っ」



いい年の男が恋人の弟にあーんだなんてシュールすぎる光景に戸惑いしか無いが、圭吾の嬉しそうな顔を見れたからよしとしよう。

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