ミラー・ツインズは仲良しなんです

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ダイニングテーブルで夕飯を終えた後はローテーブルに移り、バラエティー番組か報道番組か音楽番組かでチャンネル争奪戦が始まり、見事ジャンケンに勝った勇吾がバラエティー番組に切り替えた。



「勇吾、昔からこの芸人さん好きだよな」
「あー、なんか下らない事やってんなぁとは思うけど…、なんかついフッと笑っちまうんだよなぁ」
「そういうの、大事だよね」



ひろが同調すると、勇吾は静かに口元に笑みを浮かべる。
そんな表情を見てひろは優しく目を細め、俺は二人を見てやっぱり口元は自然に綻んだ。



ひろが大量に買い込んだお酒とツマミを眺め、缶ビールを手に取った。
ひろはモスコミュール、勇吾はファジーネーブルだ。

俺は甘いものは苦手で珈琲もブラックで飲むし酒も後味のスッキリするものを好むけど、勇吾は甘いものが大好きで珈琲にはスティックシュガーを何本も入れるしお酒も甘いカクテルばかりを好む。



双子でも、好きなものは全然違う。
育った環境は同じなのに、性格も口調も何もかも違う。






だけど、たった一つ…同じ事がある。






「あ、冷蔵庫にチーズあったよね。
なんか食べたくなってきちゃったな〜」
「あ、俺取ってくるよ」



スッ…と立ち上がったのは俺だけではなかった。
同時に立ち上がる勇吾と目が合う。
そしてお互い引かずに二人で冷蔵庫に向かい、同時に目当てのチーズを手に取った。



「……」
「……」
「俺が持っていくから、勇吾手離してくれる？」
「はぁ？ふざけんな、俺が先に取ったんだから俺が持っていく」
「いや、今のは俺の方が少しだけ早かった」
「いーや俺の方が更に少しだけ早かったっ」



「「……」」



絶対に譲らないと鋭い目を向ける勇吾に笑みを向けたまま負けじと見返す。
どちらも離すまいと6ピース入りのチーズを掴む手に力を込めながら取り合う。

リビングから何やってんのーと待ちきれないひろの声が聞こえて、一瞬気を取られて力が緩んだ隙をついてパッと奪われてしまった。



「あ…っ」



慌てて後を追いかけると、勇吾がほら…とひろに手渡していた。

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