ミラー・ツインズは仲良しなんです

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「はい、じゃあ手を合わせて…」




「「「いただきます」」」







俺には両親がいない。

それを寂しいと感じた事は一度も無い。
なぜならあの日から俺は…、一人じゃないから。



「あー……だめだ…こりゃ二度寝だな…」



双子の兄・勇吾。



「ったく、少しはシャキッとしろよ」



双子の弟・圭吾。



20年前のあの日、俺はこの双子に救われた。

それから色々あって施設で暮らすようになった俺に、双子は頻繁に会いに来てくれた。

特に勇吾は…どんなに天候が悪くても、自分が忙しくても、体調が悪い日でさえ…一日も欠かさずに顔を見に来てくれた。
俺がしたくてやっている事だからと涼しい顔で言っていたけれど、それがどれだけ大変で凄いことか…俺には到底想像もつかない。



「しょうがねぇだろ…俺は夜仕事してんだから寝るのも遅いんだよ」
「その分昼間仮眠してんだろ？」
「それとこれとは別ですー…」
「いや同じだって」



二人とも社会人として自立して丸二年が経った頃、既に施設を出て二人より早く社会人となり一人暮らしをしていた俺の所にやってきて、言ってくれたね。






『迎えに来た、宏光』
『まとまったお金貯めるのに二年も掛かっちゃったけど、物件も見つけてきた。…三人で一緒に暮らそう、ひろ』



社会人になった途端なかなか会えなくなった理由を知った。



そんな事よりももっと会いたかった…
この二年、放っておかれて寂しかった…
そもそも、一緒に住むなんてひとことも聞かされてない内から何で勝手に決めてんだ…



二人に抱きついて泣きながら話す俺を嬉しそうに聞いてくれていた。
俺が断るはずがない事、喜ぶ事なんて双子には当のお見通しだったのだ。







「宏光、醤油無いんだけど」
「こら、そのくらい自分で取りに行けって」
「宏光」
「もうっ、しょうがないな馬鹿兄貴は…」
「あぁ！？お前弟の癖に生意気だぞっ」
「はいはい、双子なんだからもうどっちが上とか無いだろ」
「チッ…」



小さな不満はあるし喧嘩だってする、嫌だなと思う性格もそりゃお互いにあるけれど、そんな所も含めて愛しいと感じる。



ずっと俺の側には二人がいた。

いつも気にかけてくれていて、俺なんかに溢れるほどの愛情を注いでくれるから、寂しいと思わずに済んだんだよ。



「…美味いな」
「そうだな、ひろ美味しいよ」



二人は俺にとって、かけがえのない大切な家族だ。





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