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「……」
ピクっと反応した勇吾は布団をバッと奪い寝返りをうって俺から顔を背ける。
再度声を掛けると低い声でうるさい…と聞こえた。
「もうっ、勇吾ってば。ご飯冷めちゃうから」
「……チッ」
勇吾は舌打ちをして俺に手を伸ばしてきた。
なぁにと屈むとグイと手を引かれ、体勢を崩して勇吾に密着した。
「ちょっと…っ」
「起きてほしいんならそれなりに誠意を見せて貰わねぇとなぁ…?」
「誠意?」
「……ん」
目を閉じたまま口付けを強請る駄々っ子に、しょうがないなぁと絆されそうになる。
さてどうしたものかと思案していると、背後から気配を感じて振り返る。
髪型をしっかりきめた圭吾が茶目っ気たっぷりな笑みを見せていて、俺は静かに圭吾に場所を譲った。
「ん…っ…」
わ…!
圭吾が優しい目をして勇吾の髪を撫でる。
勇吾はまだ寝ぼけているから俺と勘違いして圭吾を引き寄せ目を閉じたまま唇を重ねた。
耐えきれずにふふっと吹き出すと、違和感を覚えた勇吾が目を開けて、間近に見える同じ顔に慌てて突き飛ばした。
「ぶっ、ペッペッ…最悪だ…こんのクソ野郎…」
「いつまでもひろ困らせるからだろ?
早く起きろよ、勇吾」
「チッ…、分かったから出てけよ…」
「はいはい」
笑いながらもしっかりと唇を拭う圭吾にまた可笑しさが込み上げると、クイと腕を引かれた。
「わっ…」
「お前も見てないで止めろよな…ったく…最悪の目覚めだぜ…」
華奢に見えて逞しい腕にぎゅうっと抱かれる。
拗ねる仕草が可愛くて、わざとやっているんだと知られたらきっと暫く口を聞いてくれなくなるのだろう。
「もう…、機嫌直して?」
触れるだけのキスをすると、とろんとした目でもう一回と重ねてくる。
ポンポンと頭を撫でて、寝癖でぐしゃぐしゃの頭を掻き混ぜた。
「おはよう、勇吾」
「……はよ、宏光」
ようやく頭がハッキリしてきた勇吾にも挨拶を済ませ、早く来てねと言い置いてリビングへ戻った。
珈琲を飲みながら新聞に目を通している圭吾にお待たせといって熱々のお味噌汁を入れる。
あいつ起きたと呆れたように聞いてくる顔は優しくて、素敵な兄弟だなとふとした瞬間強く思う。
「あー…ねみー…」
最低限髪を整えた勇吾はパジャマのまま食卓についた。
これはもういつもの事だから何も言わない。
寝癖を整えてきただけマシな方だ。
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絢音(プロフ) - みぃちゃんさん» あら、どなたかと思えば…!宏光くんの双子に対する溢れんばかりの愛情を感じ取ってもらえてとても嬉しく思います♪えへへ…私も、双子を幸せにしたい一心で連載やってますから…!みぃちゃん、いつもいつもありがとうね(*´艸`*) (2019年6月30日 22時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 大好きな宏光くんに誕生日を触れてもらえるのを今か今かとそわそわする双子は何とも愛らしいですね…!圭吾は宏光に恋愛感情は抱いていないけど、大好きで大好きで仕方ないんです(^^)ぎゅってして…って、躊躇いがちにおねだりする圭吾たんを私が抱きしめたくなります! (2019年6月30日 22時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
みぃちゃん(プロフ) - 太ちゃん誕生日おめでとう♪双子ちゃんと宏光にはいつもほっこりさせて頂いてます(*^^*)勇吾に愛を伝える所、圭吾をぎゅっとしてあげる所にはホロっとしました(´;ω;`)絢音ちゃんの二人に対する愛も感じがしました♪ここでは初コメ!少し緊張しました( ̄▽ ̄;) (2019年6月26日 9時) (レス) id: 8286bf0fde (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - ♪ヽ(´▽`)/こちらでもはっぴぃばーすでぃ(≧▽≦)圭吾のしてほことも聞いたげるシーンのそれぞれの表情に感動しちゃいました(´;ω;`)物凄く癒されております…( 〃▽〃)最初にふたりがソワソワしてるとこも可愛かったです(*/∀\*) (2019年6月26日 6時) (レス) id: 38544530dd (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 可愛い生き物がベッドにいたら無条件に癒されますね!ふふ、小ちゃいのにおっきい…。そう、みっくんはおっきいのです!笑 (2019年6月25日 11時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年5月26日 0時