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「帰るぞ」
背を向けた後ろ姿に飛び込んだ。
一瞬だけぎゅうっと広い背中に抱きついて、そのままくっ付いて隣に並び黒の番傘に収まった。
「は?」
「ふふ、良いだろ?この傘大きいし、勇吾華奢なんだから男二人で入っても楽勝だよ」
「…誰が華奢だ」
「痛っ」
わざと大袈裟に痛がる素振りをしてみても相手にされずそのまま本当にスタスタと歩き出してしまいそうだったから、勇吾の愛が詰まった赤い傘を握り直し慌てて歩幅を合わせた。
「今日は何してたの?」
「あー、店で出すカクテルの新作案をいくつか考えてた」
「仕事の事考えてたんだ。
勇吾は本当にバーテンダーが天職みたいだな」
「まぁ…な」
「すごいなー」
「…俺は、宏光の方がすごいと思うぞ」
え?と少し上にある目を見上げると、俺だけに向ける優しい目をしていた。
「バーテンは愛想無くても腕さえ磨けばやっていける仕事だけど、お前は接客がメインだろ?
どんな時でも笑顔でいなきゃならないなんて俺からしたら苦痛以外の何物でも無いからな…。
…だから、お前の仕事を俺は尊敬してるよ」
「…っ」
不意打ちの優しさに顔がカーッと赤くなっていくのを感じて、大袈裟だなと笑いながら誤魔化した。
「あ…、あっ、えっと…新作っ!
勇吾が考えたカクテルがメニューに載るって事だよなっ?」
「採用されたらな」
「すげーじゃんっ、俺からしたらそっちの方がよっぽど素敵な仕事だと思うぞっ」
自分で考えて作ったカクテルが店に出される…、それは多分バーテンにとってとてもすごい事なのだろう。
そっちの世界の事は何も知らないが、静かに嬉しそうな様子を見ると勇吾も頑張っているのだろう。
「あ…でもなぁ…」
「あ?」
「俺が一番にそのカクテル呑みたいなぁ!」
勇吾の初めてが、全然知らない奴のものになるなんてやだっと駄々をこねてみれば、勇吾はビックリしたように目を見開き、クククッと喉奥で笑った。
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絢音(プロフ) - みぃちゃんさん» あら、どなたかと思えば…!宏光くんの双子に対する溢れんばかりの愛情を感じ取ってもらえてとても嬉しく思います♪えへへ…私も、双子を幸せにしたい一心で連載やってますから…!みぃちゃん、いつもいつもありがとうね(*´艸`*) (2019年6月30日 22時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 大好きな宏光くんに誕生日を触れてもらえるのを今か今かとそわそわする双子は何とも愛らしいですね…!圭吾は宏光に恋愛感情は抱いていないけど、大好きで大好きで仕方ないんです(^^)ぎゅってして…って、躊躇いがちにおねだりする圭吾たんを私が抱きしめたくなります! (2019年6月30日 22時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
みぃちゃん(プロフ) - 太ちゃん誕生日おめでとう♪双子ちゃんと宏光にはいつもほっこりさせて頂いてます(*^^*)勇吾に愛を伝える所、圭吾をぎゅっとしてあげる所にはホロっとしました(´;ω;`)絢音ちゃんの二人に対する愛も感じがしました♪ここでは初コメ!少し緊張しました( ̄▽ ̄;) (2019年6月26日 9時) (レス) id: 8286bf0fde (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - ♪ヽ(´▽`)/こちらでもはっぴぃばーすでぃ(≧▽≦)圭吾のしてほことも聞いたげるシーンのそれぞれの表情に感動しちゃいました(´;ω;`)物凄く癒されております…( 〃▽〃)最初にふたりがソワソワしてるとこも可愛かったです(*/∀\*) (2019年6月26日 6時) (レス) id: 38544530dd (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 可愛い生き物がベッドにいたら無条件に癒されますね!ふふ、小ちゃいのにおっきい…。そう、みっくんはおっきいのです!笑 (2019年6月25日 11時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年5月26日 0時