一日だけ、恋をした。

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「I have a reservation for today.」
『Sure.Can I have your ID,please?』



ホテルに戻りチェックインの手続きをしている途中、耳を疑うような言葉が出て思わず日本語で聞き返してしまった。



「は…？部屋がひとつ…？」



ハッとして再度英語で聞き返すも返ってきた言葉は全く同じもので、確かに一室で承っているとの返答だった。
どう言う事だと顔を顰めていると隣で聞いていた北山がポンと肩を叩いた。



「あー…、まぁいいじゃん。俺は構わないよ」
「…そう？」
「ほら、ホテルの人困らせたら悪いって」



それもそうだと謝罪を入れ、チェックインを済ませた。

酔いなんてすっかり醒めていて、エレベーターに乗り込んでゆっくりと上昇しながら俺は、先ほど自分の口にした数々の醜態に頭を抱えたくなっていた。
北山は酔った戯言と受け止めてくれているようで特に気にしている素ぶりは見られないものの、やはり密室の空間で多少気まずい心境なのか無言でいた。

部屋に入ればまた空気も変わるかとカードキーを差し込んでドアを開け電気が付く。
靴を脱いでリラックスした状態で部屋に進み…、飛び込んできた光景にはぁ！？と大声を上げてしまった。



「どうしたっ……て…、はぁぁっ！？」



開いた口が塞がらないとは、こういう時に使う言葉なのか…。
時差なんて気にせずに秒でマネに電話を掛けた。



「ちょっとっ、これどういう事っ！？」



電話口のマネは俺の言葉を聞いた後で自分の失態だと完全に慌てふためいていて、ごめんなさいごめんなさいと可哀想なくらい謝ってきた。
いつも完璧に仕事をこなしている優秀なマネをこれ以上責めることなんてできなくて、色々言いたい事をため息とともに呑み込んで大丈夫だから気にしないで…と通話を切った。



「……マネ、何だって？」
「…リサーチ不足」
「はぁ…マジか。あー…どうする？フロント電話するか？」
「いや……さっきも言っちゃったし…」
「でもこれお前…寝られないだろこれじゃあ…」
「……」



目の前に広がる…キングサイズのダブルベッドに枕が二つぴったりと並んでいる状況に、今度こそ頭を抱えてしゃがみ込んだ。

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