7 ページ7
「……い…、一緒にいられる時間くらい……俺だけの北山でいてほしい」
「ん?」
「LINE…。するななんて言わないけど、夢中になって放ったらかしはいや…」
「あー…、さっきのは違うんだよ。
お前疲れてそうだったからさ…、もう寝るって拗ねるかなって…、気を遣っていたというか…わざと早く寝るように仕向けていたというか…。
……でも、無神経だった、ごめん」
「…他には、ある?何でも言っていいんだよ?」
「……っ…」
「うん、いいよ藤ヶ谷。言ってごらん?」
「距離置こうかなんて言わないで…っ。
何言ってんだって…、側にいろって……言ってよ」
これが、一番言いたい事だった。
俺を想ってくれているのなら、自分の気持ち抑え込んで距離を置くという選択をしてほしくなかった。
好きだから。そのひと言だけをくれたら…俺はそれだけで何もかもどうでもよく思えるくらい北山の事が好きだから…。
それを全部途切れ途切れになりながら伝えると、北山は俺をキツく抱き寄せた。
ぎゅううっと音がするくらい、隙間なく…。
まるで地球ごと抱きしめているのかと思うくらい力強くて…泣きたくなるほど優しい、温かな抱擁だった。
「……馬鹿だなぁ…っ」
「っ…!」
「好きか分かんなくなっちゃう前に…俺に全部話せよ…っ。勝手にネガティヴな方向に行くの、お前の悪いとこだぞ」
「……っ」
「でも…そんなとこも含めてさ…、……愛してるよ」
「〜〜っ」
「愛してる。だから…、側にいろよ」
返事は?と優しく聞いてくる声は少しだけ弾んでいるように思えた。
返事なんてできない事は今のこの俺の状況を見れば察せるはずなのに、どこか楽しそうに聞いてくる。
俺の答えなんて、もう分かってるくせに。
いっその事、その予想の反対で返してやろうか……なんて、そんな事は到底できるはずもなかった俺は、ただただ泣きながら肩口でうんうんと頷いていた。
自分は確かに愛されているのだと…その確証が得られたことよりも、北山の声が悲しみから解き放たれている事に堪らなく安心していた。
561人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
絢音(プロフ) - まーさん» まーさん、初めまして♪コメントありがとうございます!北藤には北藤の魅力がたっぷりありますので創作意欲は掻き立てられます(^^)現在連載中のHUGTIMEも北藤ですのでよければ遊びに来てくださいね♪北藤新作もまたいずれやりますね♪ (2019年5月25日 21時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ゆうりんさん» ゆうりんさん、改めまして素敵なリクエストをありがとうございました♪がっつり切なめ…というよりは割と甘めなお話に仕上げましたが、キュン心芽生えたようで私も嬉しく思います(^^) (2019年5月25日 21時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ピンクピーチさん» ピンクピーチさん、こんばんは♪たくさん共感して下さったみたいでとても嬉しいです!藤北の二人も北藤の二人も愛おしいって事なんですよね…!深夜に新作立ち上げますので、またそちらでもお会いできると嬉しいです(^^) (2019年5月25日 21時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶさん♪改めまして素敵なリクエストありがとうございました!君ナシのエピソード気に入ってもらえて良かったです!切なめな二人から始まりたくさんの時間を過ごしていく内に育んできた愛が、これからの二人をもっと幸せにしてくれると思います(^^) (2019年5月25日 21時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。完結おめでとうございます!北藤作品がとても大好きなのでまた書いていただけたら嬉しいです(^_^)次回作も楽しみにしています♪ (2019年5月22日 23時) (レス) id: fdcca45ecc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:絢音 | 作成日時:2019年5月16日 6時