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真っ暗な部屋の中、布団を被って止まらない涙を鬱陶しく思いながら北山の事だけを考えていた。
どうしてこうなっちゃったんだろう…。
俺はただ、北山と恋人らしい時間を過ごしたかっただけなのに…。
自分の言葉に後悔はないけれど、部屋を出て行く瞬間に見えた北山の顔が脳裏に焼き付いて離れない。
どうしてあんな悲しそうな顔をしていたの…?
俺のこと…好きでいてくれてるって事?
だとしたら何で…
堂々巡りに捉われてだんだん頭が痛くなってくる。
こんなの、寝付ける訳がないじゃないか。
布団から顔を出して閉ざされた扉の向こうの気配を探る。
物音一つしなくて、もうソファーで眠ってしまったのかと思うと怒りやら寂しさやらを通り越して言葉に言い表せない感情に支配される。
もう知らない。
でも…、やっぱり…顔が見たい。
そっと布団を抜け出して、ペタペタと冷たい廊下を歩く。
リビングに続くドアをそっと開けると、目元を腕で覆いソファーに横になっている北山がいた。
「……」
こっちを見ようともしない。
だけど…あの体勢は間違いなく起きているはずだ。
声を出さず近寄っていき、下に座って北山の腕に触れる。
ゆっくりと腕が目元から離れ、合わさった瞳は不安定にゆらゆらと揺れていた。
「…っ」
今にも泣きそうな目…、俺がそんな顔をさせている…
そう思ったらもう感情を抑えきれなくて、ひっく…と泣き噦った。
「……どうして…」
北山の悲しい声が静寂に響く。
「俺…もうお前泣かせることしかできないのか…?」
そう言って北山は悔しそうに俺の頬を手のひらでそっと包み込んだ。
いつも温かな手は指先まで冷たくなっていて、小刻みにカタカタと震えていた。
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絢音(プロフ) - まーさん» まーさん、初めまして♪コメントありがとうございます!北藤には北藤の魅力がたっぷりありますので創作意欲は掻き立てられます(^^)現在連載中のHUGTIMEも北藤ですのでよければ遊びに来てくださいね♪北藤新作もまたいずれやりますね♪ (2019年5月25日 21時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ゆうりんさん» ゆうりんさん、改めまして素敵なリクエストをありがとうございました♪がっつり切なめ…というよりは割と甘めなお話に仕上げましたが、キュン心芽生えたようで私も嬉しく思います(^^) (2019年5月25日 21時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ピンクピーチさん» ピンクピーチさん、こんばんは♪たくさん共感して下さったみたいでとても嬉しいです!藤北の二人も北藤の二人も愛おしいって事なんですよね…!深夜に新作立ち上げますので、またそちらでもお会いできると嬉しいです(^^) (2019年5月25日 21時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶさん♪改めまして素敵なリクエストありがとうございました!君ナシのエピソード気に入ってもらえて良かったです!切なめな二人から始まりたくさんの時間を過ごしていく内に育んできた愛が、これからの二人をもっと幸せにしてくれると思います(^^) (2019年5月25日 21時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。完結おめでとうございます!北藤作品がとても大好きなのでまた書いていただけたら嬉しいです(^_^)次回作も楽しみにしています♪ (2019年5月22日 23時) (レス) id: fdcca45ecc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年5月16日 6時