愛するということ

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「そんな状態ならわざわざ来なくたってよかったのに」
「……」



分かってる、それは俺の体調を気遣っての言葉だ。

でも…他に言い方無いの？
…会いたくて、来たんだよ？



「別に断っても俺気にしないのに」



それは俺との約束がダメになっても他に相手してくれる人は大勢いるからって意味？

そんな言葉は酷い…
北山は俺に会いたいって思ってくれないの…？



すっかり黙り込んでしまった俺に、空気を変えようと思ったのか明るいトーンで話される。



「じゃあ今日は早く寝よっか。泊まっていくだろ？」
「…うん」



優しく頭を撫でられても何か違う…と思ってしまう。
俺が欲しかったのは、そんな言葉じゃないのに。

何だかすっかり居心地が悪くなってしまい、本音は帰りたくて堪らなかった。









同じベッドの中で並んで座っていても、俺は背凭れに身体を預けぼんやりと考え事をしていて、北山は前屈みになってずっとスマホを弄っている。
たまに会話はあるけれど、ずっと画面から目を離さない北山に少しずつ不満が募っていく。

ゲームなんてしてたら帰ろうかなと思っていると、ほんの少し見えてしまった画面はだれかとのLINEのトーク画面だった。

すぐに返して終わるかと思っていたのに話が弾んでいるのかなかなかスマホを手放さない。
早いフリックで返信していて、時折ふっと笑みを溢している。



「……」



それって今じゃないといけないの？
俺来れたの久しぶりなんだよ？
何で俺を見てくれないの？



「……」



徐に動いた俺に北山は漸く視線を向けた。
膝を抱えて俯く俺に、北山は「ん？」と優しく見つめてくれている。



……でも、なんか…もぉいいや。

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