愛するということ

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いつだったか…泣き噦る俺を抱きしめ側にいろと言ってくれた通り、俺はどんなに仕事が忙しくなっても宏光と過ごす時間を何よりも大事にしてきた。

例え寝に行くだけでも、宏光の家に行き、おやすみとおはようを言って温もりを感じる…。
そんな日々を重ね、随分と心に余裕ができた。

昔みたいに、誰々と飲み歩いて寂しいと感じたり恋人らしいことをしたいのにと泣き喚くことも無くなった。



宏光が俺を愛してくれているって、確かな自信がついたからだ。



「…っ…ズッ…」



はぁ…感動する話だった…これは泣ける。
宏光にも今度貸してあげよう。
一体彼はどんな感想を持つのか、話ができるのが今から楽しみだ。



「ふふ…」



泣き顔を見られてはまた揶揄われるから早く拭かないと。
さっき見られたのは不意打ちだった…。



もう俺が泣いていても、おろおろと心配される事もだいぶ減った。

俺の泣き方で深刻かそうでないかの判断は付くらしく、深刻でない時は割と揶揄われたり放っておいてくれるようになった。
その分…どうしようもなく追い詰められている時や苦しくて堪らない時も以前より増えて…、そんな夜はいつも俺が落ち着くまで優しく抱きしめて側にいてくれる。

こういう時、一緒に過ごしてきた年月の積み重ねを愛おしく思うんだ。



「あー…良い天気」



窓から射し込む柔らかな陽射しが優しい眠気を運んでくる。
宏光はまだ掛かるだろうし、俺は今日はもう仕事はしないと決めている。

メリハリは大事だ、休める時にはしっかり休まないと。
…これも、頑張り過ぎる俺に宏光が言ってくれた言葉だ。



スマホとイヤホンを持ち、ソファーに寝転ぶ。
カチカチと設定をしてイヤホンを耳につければ、大好きな声に包まれる。

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