愛するということ

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「みつー、今日何してんの？」
「んぁ？あー…特に何も無いけど」
「やった、ご飯行こ！」
「おー、いーなっ、肉食い行こーぜっ肉っ」



ひと足早いタイミングでそんな会話を拾ってしまい、今しがた開いたLINEのトーク画面を静かに閉じた。
今日は共演者さんの都合で予定していたドラマの撮影が無くなりこの後はもう帰るだけだったから、久しぶりに会いたいと誘うはずだったのに。

俺とこういう関係になる前からよく呑み歩いているのは聞いていたけど、付き合い出してからもそれは変わる事なく奴はしょっちゅう色んな人と呑み歩いている。



それを悪いとは言わない。
そんな事でいちいち目くじらを立てるような浅い付き合いしていないし、信頼もしている。
俺以外の誰かとどうこう…って展開にならない事も分かっている。

これでも寛容なつもりでいた。…さっきまでは。









「はぁ…、まず」



一人で呑む缶ビールって、こんなに不味かったっけ。
一人で食べるご飯はこんなにも味気ないものだっただろうか。

途中で食欲がなくなって、ラップをかけて冷蔵庫へ入れた。
明日の朝食べる気分になったら食べよう…。



「……」



分かってる。北山だって、一人のご飯が嫌だから他の人と外食してるんだって。

ドラマの仕事が入るとどうしても時間を拘束されてしまって、なかなかプライベートな時間を共に過ごす事が難しくて、すれ違いの日が続いている。



俺が一人にさせてる…寂しい思いをさせている…、だから俺がどうこう言うのは筋違いで、帰ってこいなんて言えない。

だけど……



「こう毎日じゃなぁ…」



ほとんど毎日先約がある関係で、たまに予定が空いた時でも会いに行けない…。
付き合っている意味を、見出せなくなってしまいそうだった。

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