9 ページ9
「わた…」
「……大丈夫?
ここで寝ててもいいんだよ?」
「や…、行く」
「でも、スタジオ寒いかもよ?」
「…行く」
「そっか。でも撮影はほんと無理しなくていいんだからね。椅子用意してくれているらしいから、そこで座ってていいって」
「ありがとう」
「みつがね、用意してもらうように掛け合ったんだって」
「え…」
思いがけない言葉に目を見張ると、わたは穏やかに目を細めた。
「さっきなかなか戻ってこないと思ったら、色々動いてくれてたみたい。どうせついて行くってきかないだろうからって」
「……」
北山…
「あ、肩貸すよ。立てる?」
「…ん」
支えられるようにしてスタジオに入り、カメラさんに謝罪を言ってから用意されている椅子に座った。
北山が始めらしくすでに立ち位置についていて、他のメンバーはちらほらと俺の周りに集まっていた。
「ガヤさん…大丈夫?」
「ん、ありがとな健永」
「痛み酷くなったりしたら言ってよ?」
「うん」
優しい健永はさっきからずっと心配そうな目を向けてくれていたけど、北山とわたにずっと気に掛けてもらっていたから話に入り辛かったんだろうなと思った。
平気だと笑いかけると安心したように笑ってくれた。
「次、宮田だって」
「あ、はーい」
撮影を終えた北山が戻ってきて宮田が入れ替えで立ち上がった。
北山は俺の方は見ずにそのままスタジオを出てしまった。
お礼…言おうと思ったのにな。
時計に目を向けると12時過ぎ…
あと1時間…
早く、早く何事もなく過ぎ去って…そのまま何の変哲も無い明日が来てほしい。
そうしたら俺はやっと肩の力を抜けるから。
なんだか時間ばかり気にしているからかだんだん本当にお腹が痛くなってきて、俯き加減に摩っていると隣に気配を感じた。
「…あ」
「無理するなって言ってるのに…」
北山がブランケットとペットボトルを持って心配そうに俺を見下ろしていた。
737人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
絢音(プロフ) - 雪さん» 雪さん、こんにちは♪2度目の閲覧にコメントもありがとうございます(^^)本作のような切なめからのハピエン私も好きなので気に入って頂けて嬉しいです♪最近はすっかり書くのお休みしてしまっていますが、連載含めまた機動しますので、今後もよろしくお願いします(^^) (2021年10月29日 9時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 絢音さん、素晴らしいお話をありがとうございました!以前読ませていただいた記憶を辿り検索し、2度目。ハラハラと涙が止まりません 設定が凄くお上手で最後はやっぱり藤北の絆、キスマイの絆!ほっとしました (2021年10月20日 21時) (レス) @page50 id: 64ae229e91 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - lastresortzipsaさん» こんにちは(^^)本作を見つけて下さりとても嬉しいです。他にも色々書いてますので、よかったらまた遊びにいらして下さいね♪ (2021年5月2日 16時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
lastresortzipsa(プロフ) - めちゃくちゃ泣けました!!!嗚呼、もうホントに、素敵な作品をありがとうござます。 (2021年4月30日 15時) (レス) id: 9ca8613eb3 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - 雪さん» 雪さん、初めまして(^^)感想伝えて下さってとても嬉しいです♪本作は構成が難しかったですが、無事にハッピーエンドに創り上げることができ、またたくさんのお声を頂いて書いてよかったなと思えた作品です(^^)よければ他作にも遊びにいらして下さいね♪ (2020年3月8日 18時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:絢音 | 作成日時:2019年3月30日 3時