35 ページ35
「俺は……」
グッと北山の肩を抱く力を込めた時、耳を疑うような声がした。
「んっ……スゥ……んぅ…」
「き、北山…?」
いやまさかそんな漫画みたいな展開ある訳…
「スゥ……スー……」
「……ふはっ」
間違いない、信じ難い話だけど…漫画みたいな展開がまさに今存在していた。
「寝たんかーい…」
スヤスヤと、俺の胸に顔を埋め気持ち良さそうに寝息を立てていた。
「もう…だから呑みすぎだって言ったのに」
もちもちほっぺを軽く摘まむと、んふふ…と幸せそうに微笑んだ。
あぁ…なんかその顔見たら全部どうでもよくなるな。
「…幸せそうな顔しちゃって」
良い夢を見ているから?
それとも、俺の腕の中にいるから?
「返事は……仕切り直しだな」
よいしょとすっかり力の抜けた重たい身体を抱き上げてベッドにそっと寝かせた。
俺はリビングのソファーでも借りようかなと立ち上がろうとした瞬間、体勢を崩して北山のすぐ横に倒れこむ。
北山の手はがっちりと俺を掴んでいて、優しく解そうとしてもビクともしない。
「力つよ…」
やれやれと思いながら北山の横に潜り込んだ。
「…明日記憶あんのかな?」
北山の事だから、さっきまでの事はすっかり記憶から抜け落ちてしまうなんて展開も充分にあり得る。
だとしたら、こんな風に密着できるのは今だけかもしれないと思えば、少し小さな身体を自分の方へと引き寄せた。
……あったかい。
「……側に…いろよ、ずっと…」
前髪を梳いて露わになった額に口付ける。
「……きたやまー…」
好きだよ。
気づかれているなんて思わなかった。
…だって自分自身、いつから好きになったのか曖昧だから。
なぁ、北山はいつから俺を好きになってくれたんだろうね。
そして案の定というか何というか、やっぱり翌朝北山はすっかり記憶を無くしていて、抱きしめられながら眠っていた事に目を丸くして驚いていた。
737人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
絢音(プロフ) - 雪さん» 雪さん、こんにちは♪2度目の閲覧にコメントもありがとうございます(^^)本作のような切なめからのハピエン私も好きなので気に入って頂けて嬉しいです♪最近はすっかり書くのお休みしてしまっていますが、連載含めまた機動しますので、今後もよろしくお願いします(^^) (2021年10月29日 9時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 絢音さん、素晴らしいお話をありがとうございました!以前読ませていただいた記憶を辿り検索し、2度目。ハラハラと涙が止まりません 設定が凄くお上手で最後はやっぱり藤北の絆、キスマイの絆!ほっとしました (2021年10月20日 21時) (レス) @page50 id: 64ae229e91 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - lastresortzipsaさん» こんにちは(^^)本作を見つけて下さりとても嬉しいです。他にも色々書いてますので、よかったらまた遊びにいらして下さいね♪ (2021年5月2日 16時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
lastresortzipsa(プロフ) - めちゃくちゃ泣けました!!!嗚呼、もうホントに、素敵な作品をありがとうござます。 (2021年4月30日 15時) (レス) id: 9ca8613eb3 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - 雪さん» 雪さん、初めまして(^^)感想伝えて下さってとても嬉しいです♪本作は構成が難しかったですが、無事にハッピーエンドに創り上げることができ、またたくさんのお声を頂いて書いてよかったなと思えた作品です(^^)よければ他作にも遊びにいらして下さいね♪ (2020年3月8日 18時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:絢音 | 作成日時:2019年3月30日 3時