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「っ…?」
赤く火照った顔に…、僅かにうるんでいる目…
掴んでいる手から感じる熱…
目を逸らせないで見つめ合っていると、北山の顔がさらに近づいて…俺の肩に顔を埋め、両手は首に巻きついてきた。
「……」
抱きつかれている…。
ぎゅうっと力が込められて北山はずっと黙っている。
「……どうした?」
小さな声で優しく問いかけてみても反応は返ってこない。
「……気持ち悪くなっちゃった?」
酔いが回って気分を悪くしているのかと思い、やんわりと抱きしめて背中を摩りながら尋ねると、少し間を空けて小さくふるふると首を横に振る仕草をした。
「そっか、ならいいんだけど」
「……」
ならどうしたというのか…。
考えた末に俺が取った行動は、同じように力を込めて抱きしめ返すことだった。
「…もしかして、甘えてるの?」
「っ…」
「あ、図星?」
北山の顔を覗き込んで見てみると恥ずかしいのか顔を真っ赤に染めていた。
「ふふ、酔うと人肌恋しくなったりするもんね」
「…っ」
「いいよ、北山だったら」
「…え?」
「北山になら、いくら甘えられたっていいよ」
ずっとずっと、大事にしたかった。
変な見栄やプライドが邪魔をして、自分から距離を詰める事ができなくなっていた。
だから、…罪滅ぼしって訳ではないけれど、今目の前にいる北山には無条件に優しくしたいって…、大切にしたいって思うんだ。
「…いいの?」
「うん、いいよ」
「…もっと、あまえても…いいか?」
「ふは、ん…どーぞ」
「…っ」
北山は再び俺の肩に顔を埋め、グリグリと押し付けてきた。
肩口で大きく息を吸い込んで、俺の匂いを堪能しているようだった。
さすがにそれは…恥ずかしい。
酒と焼肉の匂いしか残ってないだろうから。
「…くさいでしょ」
「んーん、良い匂い」
「それは嘘」
「うそじゃない」
お前に嘘はつかないよって、ポツリと呟いた。
それから何か言いたげに俺を見上げた。
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絢音(プロフ) - 雪さん» 雪さん、こんにちは♪2度目の閲覧にコメントもありがとうございます(^^)本作のような切なめからのハピエン私も好きなので気に入って頂けて嬉しいです♪最近はすっかり書くのお休みしてしまっていますが、連載含めまた機動しますので、今後もよろしくお願いします(^^) (2021年10月29日 9時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 絢音さん、素晴らしいお話をありがとうございました!以前読ませていただいた記憶を辿り検索し、2度目。ハラハラと涙が止まりません 設定が凄くお上手で最後はやっぱり藤北の絆、キスマイの絆!ほっとしました (2021年10月20日 21時) (レス) @page50 id: 64ae229e91 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - lastresortzipsaさん» こんにちは(^^)本作を見つけて下さりとても嬉しいです。他にも色々書いてますので、よかったらまた遊びにいらして下さいね♪ (2021年5月2日 16時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
lastresortzipsa(プロフ) - めちゃくちゃ泣けました!!!嗚呼、もうホントに、素敵な作品をありがとうござます。 (2021年4月30日 15時) (レス) id: 9ca8613eb3 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - 雪さん» 雪さん、初めまして(^^)感想伝えて下さってとても嬉しいです♪本作は構成が難しかったですが、無事にハッピーエンドに創り上げることができ、またたくさんのお声を頂いて書いてよかったなと思えた作品です(^^)よければ他作にも遊びにいらして下さいね♪ (2020年3月8日 18時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年3月30日 3時