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好きなんだ、大好きなんだ、
本当は…傷つけたくなんかないんだ。
そうやって腕の中におとなしく収まっている大切な存在に訴えかける。
傷つけてごめん、たくさん苦しませてごめん…と何度も繰り返し伝えると、やがて抱きしめられるままだった北山の手が俺の背にまわった。
「…許すよ」
「っ…」
「だって…藤ヶ谷が、本心で言ってない事くらい…、ちゃんと分かってたし」
「ぁっ…」
「もぉ…っ、何年の付き合いだと思ってんだよ…っ。
そんくらい…目見りゃ分かんだよ」
そう言って北山は笑った。
だけどその笑みは歪で、少し気を抜いたら途端に泣き出してしまいそうな…そんな脆さを秘めていた。
…ほんとにな、目見りゃ分かる…か。
確かにその通りだ。
必死に口角を上げ続けている北山に自然に微笑むと、北山の目が見開いて一瞬で赤く揺らめいた。
「…泣いていいよ」
「っ…」
「俺の前で泣いてよ、きたやま」
「あっ…っぅ…っ……〜〜っ」
そして漸く今まで溜め込んでいた涙を躊躇いもなく流す北山を、優しく優しく抱きしめた。
「あっ、ちょっと何みつ泣かせて…っっ！？」
途中で入ってきたメンバー一同に抱き合って泣いているところを見られて盛大に驚かれた。
特にずっと俺に敵意剥き出しでいたニカは俺の頬に残る涙の跡に相当驚いていて、一体何がどうしたっていうんだとものすごい剣幕で肩を掴まれた。
それは純粋にメンバーを心配するそれと何ら変わらないもので、もしかしたら本当に…俺一人が無駄に空回りをしていたのかもしれないと思ったらもう張り詰めていたものが一気に消え去って、あぁ…もう…と肩の力を抜いて笑った。
「…っ…あ…あぁ…っ…笑った…ガヤが笑った…！」
そんな俺を見て、ニカはわんわんと子どもみたいに泣き出した。
他のメンバーもみんな今にも泣きそうな顔で俺と北山に抱きついてきて、玉だけは得意げに俺を見て、ほら言った通りだったでしょと微笑んでいた。
「あのね、みんな…ごめんね、…大好きだよ」
あれだけ強い信念をもって臨んだ嫌われ大作戦はこうして、一年と経たずに終結した。
それは二年後に待ち構えているあの悪夢の惨劇の日を再び繰り返さなければならないことを意味していた。
それでも…たとえまた抗えなかったとしても…、俺はやっぱりどうしたって、優しいこの人たちを本当に傷つけることなんてできなかった──…。
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絢音(プロフ) - 雪さん» 雪さん、こんにちは♪2度目の閲覧にコメントもありがとうございます(^^)本作のような切なめからのハピエン私も好きなので気に入って頂けて嬉しいです♪最近はすっかり書くのお休みしてしまっていますが、連載含めまた機動しますので、今後もよろしくお願いします(^^) (2021年10月29日 9時) (
レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 絢音さん、素晴らしいお話をありがとうございました！以前読ませていただいた記憶を辿り検索し、2度目。ハラハラと涙が止まりません 設定が凄くお上手で最後はやっぱり藤北の絆、キスマイの絆！ほっとしました (2021年10月20日 21時) (レス) @page50 id: 64ae229e91 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - lastresortzipsaさん» こんにちは(^^)本作を見つけて下さりとても嬉しいです。他にも色々書いてますので、よかったらまた遊びにいらして下さいね♪ (2021年5月2日 16時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
lastresortzipsa(プロフ) - めちゃくちゃ泣けました！！！嗚呼、もうホントに、素敵な作品をありがとうござます。 (2021年4月30日 15時) (レス) id: 9ca8613eb3 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - 雪さん» 雪さん、初めまして(^^)感想伝えて下さってとても嬉しいです♪本作は構成が難しかったですが、無事にハッピーエンドに創り上げることができ、またたくさんのお声を頂いて書いてよかったなと思えた作品です(^^)よければ他作にも遊びにいらして下さいね♪ (2020年3月8日 18時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絢音
| 作成日時：2019年3月30日 3時
