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「…だから、そういうのウザい」
感情を無くして吐き棄てた。
そうでもしないと、今にも目の奥から熱いものが込み上げてきそうだったから。
歩き出した俺を北山の焦った声が追いかける。
俺は隅っこに腰を下ろして、戸惑いの表情を向ける北山に声を掛けた。
「……仕事のうち、なんだろ?」
「っ、あ…、うんっ、そうだよっ」
「だったら…途中で帰るような真似はしない」
「…っ」
「……何?まだ何かある?」
「っ、ううん、あ…さんきゅ!」
…何でお礼なんて出てくるんだよ。
変な奴…、そんな…嬉しそうな顔して。
北山はヨシっと気合を入れ直して、座っていた宮田を立たせて躓いていた箇所をマンツーマンで教えていた。
宮田は大量に汗を掻きながらも少しずつ確実にフリを習得していって、その様子を眺めているといつの間にか玉が隣に座っていた。
「っ…」
「……あのさ、ガヤ…」
「……何」
「ガヤって……ほんとに…俺たちの事が嫌いなの?」
「…っ、は…?」
いきなり言い出す玉に驚きを隠せずに見つめると、だってさ…と困ったように笑っていた。
「今…どんな顔してみつと宮田の事見てたか自覚ないの?」
「なに…」
「すごく、優しい目で見てたよ。
今までのガヤの言動全部…嘘だって思えるくらいに」
「…っっ」
「……ねぇ、ガヤ…」
玉の言おうとしている事は分かる。
どうしてだって、何か理由があるんじゃないのかって問い質したいのだろう。
だけど俺はそれに応える事はできない。
そんな事をしたら全てが水の泡になるからだ。
「…気持ち悪い事言うなよ。お前の錯覚だろ」
又しても無表情に伝えるも、玉はもう…ただ穏やかに俺を見つめていた。
随分と懐かしい表情を向けられている気がした。
俺が…当たり前のようにほしがっている日常が、すぐ手を伸ばせば掴めるのだと甘い誘惑がチラついていた。
「そうかな?俺、目は良いんだよね」
「……」
「だから、自分の直感を信じる事にするよ」
あぁ…、もうこの子には何を言っても通じない。
詰めが甘かったと認めざるを得なかった。
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絢音(プロフ) - 雪さん» 雪さん、こんにちは♪2度目の閲覧にコメントもありがとうございます(^^)本作のような切なめからのハピエン私も好きなので気に入って頂けて嬉しいです♪最近はすっかり書くのお休みしてしまっていますが、連載含めまた機動しますので、今後もよろしくお願いします(^^) (2021年10月29日 9時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 絢音さん、素晴らしいお話をありがとうございました!以前読ませていただいた記憶を辿り検索し、2度目。ハラハラと涙が止まりません 設定が凄くお上手で最後はやっぱり藤北の絆、キスマイの絆!ほっとしました (2021年10月20日 21時) (レス) @page50 id: 64ae229e91 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - lastresortzipsaさん» こんにちは(^^)本作を見つけて下さりとても嬉しいです。他にも色々書いてますので、よかったらまた遊びにいらして下さいね♪ (2021年5月2日 16時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
lastresortzipsa(プロフ) - めちゃくちゃ泣けました!!!嗚呼、もうホントに、素敵な作品をありがとうござます。 (2021年4月30日 15時) (レス) id: 9ca8613eb3 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - 雪さん» 雪さん、初めまして(^^)感想伝えて下さってとても嬉しいです♪本作は構成が難しかったですが、無事にハッピーエンドに創り上げることができ、またたくさんのお声を頂いて書いてよかったなと思えた作品です(^^)よければ他作にも遊びにいらして下さいね♪ (2020年3月8日 18時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年3月30日 3時