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またどこかぎこちない空気が流れてしまい、きたやま…と名前を呼んだ。
「…ん?」
「その…、ありがとう」
「え?」
「…俺の為に、いっぱい動いてくれて…今も…その…心配してくれて」
素直にそう言うと、北山の顔が急にパッと赤くなった。
「なっ、何だよ…、お前熱もあんじゃねーの?」
「…俺がお礼言ったら変な訳?」
「っ、違…」
少し不機嫌さを露わにすると北山は慌てて違うと否定した。
「…なんかさ、こうやってゆっくり2人で話すの…久々な感じがしてさ。ちょっと不謹慎だけど…嬉しいんだよな」
「…っ」
「ごめんなー、お前体調悪いのに…」
「……ううん」
仲が悪い訳ではない。でも特別良い訳でもない。
こうして2人きりで、仕事以外の話をするのは久々で…しかも嬉しいと言われた。
自分自身も同じような気持ちを抱いていることに気づいて、少しだけ…自分よりも小さな身体に寄りかかってみた。
「藤ヶ谷?…しんどくなった?」
「…ちょっとだけ」
「楽屋戻るか?それとも帰る?」
「いや…、ここにいる」
「…じゃあ、もっと凭れていいから」
頭に手が添えられて、自らの肩へと引き寄せられる。
あったかくて…とても安心できた。
チラリと見えた北山の腕時計…時刻は13時5分前。
このままここにいれば、あんな壮絶な事故など起こるはずもない。
大丈夫…もう大丈夫なんだ…。
確かにそう思えて、ようやく身体の力を抜いた。
「…きたやま、ちっちゃいよ」
「はぁ?」
「首、痛いんだけど」
「なっ、お前なー、文句があんなら肩貸してやんねーぞ」
「えー、やだ」
「ったく…」
そう言いながらも、頭に添えられている手は離れることはなく、何故かぎこちなく撫でてくれていて、それがあまりに心地よくて…されるがままになっていた。
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絢音(プロフ) - 雪さん» 雪さん、こんにちは♪2度目の閲覧にコメントもありがとうございます(^^)本作のような切なめからのハピエン私も好きなので気に入って頂けて嬉しいです♪最近はすっかり書くのお休みしてしまっていますが、連載含めまた機動しますので、今後もよろしくお願いします(^^) (2021年10月29日 9時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
雪(プロフ) - 絢音さん、素晴らしいお話をありがとうございました!以前読ませていただいた記憶を辿り検索し、2度目。ハラハラと涙が止まりません 設定が凄くお上手で最後はやっぱり藤北の絆、キスマイの絆!ほっとしました (2021年10月20日 21時) (レス) @page50 id: 64ae229e91 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - lastresortzipsaさん» こんにちは(^^)本作を見つけて下さりとても嬉しいです。他にも色々書いてますので、よかったらまた遊びにいらして下さいね♪ (2021年5月2日 16時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
lastresortzipsa(プロフ) - めちゃくちゃ泣けました!!!嗚呼、もうホントに、素敵な作品をありがとうござます。 (2021年4月30日 15時) (レス) id: 9ca8613eb3 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - 雪さん» 雪さん、初めまして(^^)感想伝えて下さってとても嬉しいです♪本作は構成が難しかったですが、無事にハッピーエンドに創り上げることができ、またたくさんのお声を頂いて書いてよかったなと思えた作品です(^^)よければ他作にも遊びにいらして下さいね♪ (2020年3月8日 18時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年3月30日 3時