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「飲んだ?」
「おー…」
「もう、だから言ったのに…」
ソファーで横向きになって気怠く寝そべっている俺に近づいてソファーの下に座り、俺の顔を見つめながら優しく前髪を梳いている。
しょうがないなぁと呟く声は昼間とものと違い随分と甘く柔らかい。
「ごめんねさっき、気づけなくて。外でコート払うの忘れちゃった」
「んー…俺こそ、いつも面倒な事させてる…」
「気にしてないよ。
俺も、北山ほどじゃないけど花粉症だし」
俺からしたらお前レベルの花粉症なんて認めない。
…とは、面倒な言い合いの始まりになりそうだから言わない。
「あ…」
「っ…ティッシュ…」
「はいはい、ゴミ箱もここ置いておくから」
「ズッ…、…グシュッ……ハー…」
この時期になるといつも、身体中の水分全部涙と鼻水なんじゃないかってくらい湧き出るから根負けしそうになる。
「直に効いてくるから…」
「ん…、…グシュ…ッ…うぅ…けほっけほっ」
鼻が詰まっていて鼻呼吸ができないから、みっともなく口を半開きにして酸素を取り入れるしかない。
そうなってくると今度は喉が乾燥してくるのと花粉が喉奥にまで付着しているようなイガイガする嫌な感覚に咳が鬱陶しく出始める。
「……アレ、全然効いてないじゃん」
この時期は毎年こうなるから、将来への投資ってことで始めた血液クレンジングは今年はまだ効果が実感できていない。
ただでさえそれで出かける時は毎回眉間に皺を寄せて嫌厭しがちなのに、効果が表れていないことに更に憤りを感じているらしい。
「身体の体質をゆっくり変えていくものだから、今効果が感じられなくても仕方ないよ。先生も効き始めは個人差があるって言ってたし」
「でも…」
「だーいじょうぶ、そんな過度に心配かけるようなものじゃないよ」
幾度と繰り返している台詞を今回も同じように伝える。
藤ヶ谷の心配はこれが効果を発揮してくるようになるまで薄れることはないのだろう。
時間をかけて不安を取り除いてやることに煩わしさは少しも感じない。
…むしろ、俺のことになるとただ一生懸命になる藤ヶ谷を愛おしく思うんだ。
「……また、出てる」
「ふぁ…っ、ふぅ…っ……ふえぇっきしょいっ…ズッ…」
「……」
「……あ、わり…」
俺の髪を愛おしげに触っていた藤ヶ谷の手に思いっきり鼻水と唾液をぶっ掛けてしまった。
様子を伺いながら謝ると、藤ヶ谷はヒクッと頬を引き攣らせながら無言でティッシュを鷲掴みにした。
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絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» ありがとうございました!ツンデレ輔ちゃん愛おしいです…!後書きは語り過ぎました〜。次作はねー、泣いちゃうような話です( ̄▽ ̄)私の得意ジャンル攻めてます♪お楽しみに〜 (2019年3月28日 22時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - したwwわぁ‥次作も又気になり過ぎて待ち遠しい‥可哀想な太輔さん‥どーゆーことなんだろう??ドキドキ‥楽しみにしています♪ (2019年3月26日 20時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 完結おめでとうございます。小さく笑って充分すぎる・・ここキュンっ!!です‥そしてツンとデレの使い分けが下手くそ・・可愛いじゃないですかぁぁ(´;ω;`)ウッ…最後の一文もとっても好き・・あとがきも(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪なるほど‥と頷きま (2019年3月26日 20時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» みっくんの方が太輔さん好き好きって描写寄りでしたが、実は太輔さんの方がものすごく愛しちゃってるんだよと思うとさらに萌えが深まります(笑)みっくんの答えに太輔さんはどう出ますかね?わぁ、ありがとうございます…! (2019年3月26日 17時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - ぶわゎぁぁって私に降り積もります。私も幸せ(〃▽〃)・・そして次なる太輔さんの質問に胸がぎゅぅぅ・・ってなります。みっくんの答え・・太輔さんにどう届くのか‥楽しみです(/ω\)すごくすごく素敵なお話ですね(´;ω;`) (2019年3月25日 21時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年3月23日 8時