幸せのクローバー

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sideKi




今日は先月から新しく始まった子どもたちとの共演番組のロケで、とある河川敷にやってきた。
外でのロケで子どもたちも元気いっぱいにはしゃいでいて、大人たちはとにかく安全に配慮して子どもたちに常に目を光らせている。

俺たちメンバーはというと…まぁどっちが子どもなのか分からない奴が大半。
落ち着いているのは俺と横尾さんくらいか…。

いつもなら兄組はしっかりしている方だけど、この番組の収録となると兄組の中で一人、真っ先にはしゃぎ出す奴がいる。

それは……



「たいちゃーん、あそんでー」
「いいよー」



この仕事をしていなかったら幼稚園の先生になりたかったと公言するくらい子どもが大好きで、子どもたちとロケができる回はいつも楽しみだって浮かれている。



俺のシンメで、……大事な恋人。



「あ、こらっ、あんまり走らないのーっ」
「たいちゃんだってはしってるじゃーん」
「もぉっ、待ってーっ」



わいわいと賑やかな声がこっちまで届いて、スタッフさんが楽しそうだねと笑っている。
騒がしくしてすみませんと苦笑しながら謝ると、あんな藤ヶ谷さんの笑顔は滅多に見られないから僕たちも嬉しいですと優しい声を掛けてくれた。

まぁ、普段はしっかりしているように見られるからな。
こういうロケでもないとカメラの回っていないところであんな高いテンションなんてまずあり得ないし。

…それにしてもだ。



「藤ヶ谷さーん、あんまり子どもたち疲れさせないで下さいねー」



声を張って太輔に軽めに釘をさすも子どもたちに夢中で俺の声なんて全く届いていない様子だ。

あいつ、仕事だって忘れてんじゃないだろうな…。



そんな心配はいらないというのは俺が一番よく分かっているけど、どうにも仕事中だと優しさばかりを出すことなんてできなくて、恋人贔屓って言われないように必要以上に厳しくなってしまう事もしばしば…。

そんな時は頼れる横尾さんにフォローを入れてもらったりしているけれど、今は横尾さんはスタッフさんと談笑していてあちらの様子に気づいていない。

…んー、そろそろいい加減にしておけと言いに行くべきなのか…。

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