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薄く唇を開けて口づけるとすぐに北山の舌が中に割って入ってきて主導権を握られる。
わざと離れようとする素振りを見せればまだ足りないと手が後頭部に回りさらに距離を詰められる。
かわいい…、これを可愛いと言わずになんと例えるのか…。
俺とのキスに夢中になっている顔を薄目を開いて堪能していると、不意に睫が震えだした。
「…きたやま…?」
「…っ」
唇を離して濡れている目尻をそっと拭うと、またすぐに指先が濡れていく。
ごめんと言って目を擦る手を掴むと、何でも無いんだと笑った。
「なんか…わかんねぇけど…っ…」
「…うん?」
「…っ……めっちゃ…しあわせって…おもってっ…っ」
幸せすぎて涙が勝手に出てくると言って笑い泣きしているのは、俺がずっとずっと…途方も無い期間片想いを続けてきた相手で、まさかこんな日が来るなんて、あの頃の自分は想像もしていなかった。
この想いが実る事なんてない…そう分かってはいても、気持ちが消える事なんてなかった。
ただ、見ているだけでよかった。
相手が俺じゃなくてもいい、ただ幸せになってほしかった。
長いことそう思っていたのに、不意にその手を掴みたくなったんだ──…
「馬鹿だな…」
「っ…?」
「…それ、こっちの台詞なんだよ…っ」
震える語尾を隠すように唇を奪いながら、手の中でピクピクと震える芯に刺激を与えていく。
籠もる声が悲鳴のような泣き声のような何ともいえない音になっているのはすぐそこまで昇り詰めているのだろう。
その証拠に唇を離すと途端に甘い声に変わった。
「あっ…んんっ、や…だめっ、も…い…っ、イきそ…っ」
「いいよ」
「やっ…ふじがやも…っ」
一緒に達したいから手を離してくれと強請る北山に、それは無理なお願いかなと苦笑した。
「俺は…ココでイキたいから」
薄らと筋肉のついたお腹を撫でながら囁くと、北山はあ…あっ…と声を漏らしてギュッと目を瞑った。
その瞬間自身の手のひらに熱い飛沫を感じて、北山ははぁはぁと荒い息を懸命に整えようとしていた。
「ふふ…、気持ちよかったんだ?」
「っ…いちいち…訊くな…」
「だって確かめたいから」
「……こんなイイの、久々」
ふふ…と笑いながらもまだ息の整わない北山に、額や頬、唇と触れるだけのキスを繰り返しながら、右手は器用に出したローションを人肌程度に馴染ませつつそっと後ろに指を這わせた。
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絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 本編のみったんはやや不安要素を残して終えましたが、アフターストーリーの番外編ではそんな杞憂も消えたいぴにすっかり心預けているみったんを描けていればなぁと思う次第であります(*゚▽゚*) (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶさん♪たいぴの勘違いからコメディ風に進み、そして甘々シーンを経てより一層幸せな二人にできて私も嬉しく思います( ̄∀ ̄)♪Yの証人も楽しんでもらえてよかった〜♪ (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ユキスケさん» ユキスケさん、お久しぶりです(^^)♪私まで優しくなれそう、そのお言葉に本作を創って良かったなと心から思えました…!Yの証人もありがとうございます(笑)第三者目線はなかなか新鮮で楽しく書けました♪ほっこり甘々な二人にできて良かったです(*゚▽゚*) (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ピンクピーチさん» ピンクピーチさん、いつもありがとうございます♪今回は完全片想いから始まるという珍しい入りでしたが、甘々な着地にもっていけてホッとしております( ̄∀ ̄)横尾さんエピも楽しみながら追加しましたが、楽しんでもらえて良かったです(^^) (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - *コウ*さん» コウさん、初めまして(^^)序盤からもどかしい二人を見守って下さりありがとうございました!今回かわいめなきたーまさんを書けて私も大満足です(*゚▽゚*)また別の作品でお会いできる事を楽しみにしています♪ (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年12月21日 13時