ここから始まる二人

番外編2 日常 ページ24

sideF【朝】



「あーっ、…はぁ」



やってしまった…

項垂れているとパタパタとスリッパ音が近づいてきて眠そうなひろがキッチンに入ってきた。



「はよ…、なんかすげー声聞こえた…」
「あ…はは」
「…ん？」



何だよとフライパンを覗き込まれ、笑われてしまった。



「平気だって、ちゃんと食えるよ」
「でもっ、これ失敗作だから…」
「いいから」



寝起きでポンポンと頭を撫でられ、ふぁぁと大きな欠伸をしながら洗面所へと消えていく。

そして向かい合って二人で堅めの目玉焼きを食べて、美味いじゃんてひろが笑う。
裏面の焦げた部分は、香ばしいなって楽しそうに笑った。



「俺、これから料理頑張る！」
「へ？」
「だってひろに美味しいもの食べてもらいたいし！」



そう宣言すると、ひろは耳を赤くして頬を掻きながらも嬉しそうに微笑んだ。



「…じゃあ、一緒にレパートリー増やそうな」



恋人になってまだ半月、思うように行かないこともある。
だからこそ一緒に乗り越えていく楽しさも多い。



「んふふ」
「…ぁんだよ」
「大好き」
「…っ、あ…朝から恥ずかしいやつ」
「ふふっ」





+++++

sideKi【夜】



「さみーっ」



せっかくの風呂上がりだというのに温めた身体はすぐに末端から冷え込んでいく。
すでに寝室で本を読んでいる太輔の元へ急ぎ足で向かうと、俺を捉えた太輔は微笑んで本は栞を挟んで閉じ手招きした。



「もう冷たい、ちゃんとお湯に浸かってる？」
「ううう…さみー…っ」
「そういえばひろってお風呂の時間短いよね」



ちゃんとあったまってないんじゃないのと言いながら、ほらおいでと俺の身体をすっぽりと包むように抱きしめてくる。



「あー…あったか…」
「なんか温まるやつ飲む？」
「いらない」
「いいの？」
「ん」



そんなものより、太輔の温度に包まれていたい。
心も身体も芯からあったまっていくこの感覚を知ってから、もう一人で寝られないんじゃと思う。



「…ふぁぁ」



あぁ…あったかくなったら眠くなってきた。



「ふふ、寝る？」
「んー…」



もうすぐにでも寝落ちそう。



「……寝る？」



額に、頬に、唇に。
寝ちゃうのと念押しするように甘いキスが降ってきて、返事をしようと口を開けると太輔の熱い舌が入ってきた。
散々いいようにされ、また寝る？と確認される。



「…寝れるわけねーだろ、ばぁか」
「ふふ」



後頭部に手を回し、今度はこっちから熱いキスを仕掛けた。





fin

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