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「一人暮らし、いいなぁ〜!」
「へ?」
「だって自由じゃん、門限とかないし、早く寝なさいとか言われなくて済むし」
みっくんはポカンと口を半開きにしていて、でも次の瞬間ふはっと吹き出した。
「あははっ、何だよやっぱお前ガキじゃんか」
「はぁー?」
「んはは、早く寝なさいとかまだ言われてんだ?」
「っ、あ…!」
図星を突かれて急に恥ずかしくなり手近なクッションを抱きしめると、俺の気持ちなんて全く知らないみっくんはやっぱたいちゃんかわいいねって揶揄い交じりに頭をわしゃわしゃと撫でた。
……たいちゃん
その呼ばれ方は、いつぶりだろう?
あぁ、やっぱりだめだ。
「ふふっ」
この人が、……どうしようもなく好きだ。
「……東京、楽しみですか?」
「んー、そうだなぁ、やりたいことを学べる場所に行けるから楽しみだな」
「そっか」
「あとひと月切ってるからなー、結構わくわくしてるかも」
やりたいと思える事が見つかって喜ばしいと思うのに、素直に良かったねと言えない俺はどうしようもないガキで…、だからみっくんにガキと言われるのもしょうがない事だ。
そう、始めから俺は…産まれたときから俺は、みっくんにとって弟みたいなものなのだ。
「……太輔さぁ」
「えっっ!?」
「おわ、何だよ急にでかい声出して」
「え、あっ、いや…。…何?」
そりゃあだって、急に太輔なんて呼ばれたから驚くのも無理はない。
大げさに反応してしまったことが恥ずかしくて平静を装うと、みっくんは不思議そうにしながらも話を続けた。
「…何か、俺に言いたいことあるんじゃない?」
「え…?」
「だってさ、何か今日ずっと変だもん。
何か言いたいこと、我慢してる風に見える」
驚いた。気づいてくれていると思わなかった。
そしてこんな風に聞いてくれるとも思ってなかった。
「ふふ、こうやって俺んちに遊びにきたのも随分久々だしさ、言いたいことあんなら何でも聞いてやるぞ」
「……何でも…?」
「おうっ、何でも」
「……っ」
屈託のない笑みを浮かべて、どこまでも優しい瞳で俺が何かを言うのを待っている。
見えないところでぎゅっと拳を握りしめて、震える唇を動かす。
「い……」
行かないで。
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ひろ(プロフ) - 絢音さまご返信ありがとうございました^_^ 今は過去の別サイトは紹介されてないのですね。それでは新作がアップされる機会を楽しみにしておりますね(o^^o) またご迷惑でなければコメントもさせてください。お忙しいところ、ご連絡くださりありがとうございましたm(_ _)m (2021年5月12日 21時) (レス) id: 88642e1cbe (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ひろさん» ひろさん、初めまして(^^)いつも作品読んで下さりありがとうございます♪1ページごとにお星様〜、そんな事言ってくれるの初めてです!とっても嬉しいです(^^)実は歴長いですが、過去の作品は別サイトにあり今はご案内していないんです。お気持ちだけ頂戴しますね(^^) (2021年5月12日 21時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - 1ページごとにお星様を押すことができたら良いのに。そしたらぜんぶのページでお星さま押します。たびたびのコメント、失礼しました^_^ (2021年4月26日 15時) (レス) id: e1b1489f48 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ - はじめまして。作品いつも楽しみにしています^_^絢音さんの作品の登場人物がみんな優しくて魅力的で、温かい気持ちになるので、とても好きです。他にも作品をお書きになられていらっしゃいますか?可能であれば拝見したいですm(_ _)m (2021年4月26日 14時) (レス) id: e1b1489f48 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» ふふふ、ほんとは怖いままで終わらせようとしてました(小声)たまには思い切りなバッドエンドも書きたいと思いつつ、誰得なんだ?と控えてますw。でも最後の描写少なかったかなー、もう1ページ頑張ってもよかったかなぁーなんて沸々思ってきてます(*゚▽゚*) (2021年4月2日 22時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年11月3日 23時