検索窓
今日:1 hit、昨日:10 hit、合計:100,294 hit

好きの違い ページ1

リアル。甘さ半分切なさ半分。
恋人未満。




sideF



周りから沸き起こる拍手の音で、役を演じ終えた北山が舞台に戻ってきたのが分かった。
さっきまでのシリアスな役どころを背負っていた真面目な顔つきでは無くて、いつもの…よく見慣れた北山がいた。

二階席、三階席へと視線を向ける優しい眼差しにファンの子はきっと喜んでいるに違いない。
俺が観に来ているなんて知りもしない北山は一向に視線をこちらへ向けようとはしない。
それは構わない。そうじゃないんだ。



「…っ」
「あ、もう出る?」



フラフラと立ち上がる俺に、一緒に観劇に来ていた玉が気づいて声を掛けてくる。
良かったねと感想を言いながら俺の後を着いてくる。
俺が扉のある右側では無くてステージのある左に曲がったところで、慌てたような玉の声が聞こえた。



「ちょ、ちょっとガヤ!?」



ごめん玉…でも俺、自分を抑えきれない…



三回目のカーテンコールで北山一人が出てきた。
観客のみんなは立ち上がり北山に割れんばかりの拍手を向けている。
フラフラと舞台に向かう俺に気づいたスタッフさんが戸惑いながらも俺に声を掛けてくるのが分かったけれど、反応することができなかった。
お客さんたちが少しザワつき始めたところで舞台に立っている北山も異変に気づいたのか目線を下げて何が起きたのかと様子を伺い始め、俺と目が合った。

北山は酷く驚いた様子で黙って俺を見つめている。
舞台がシーンと静まりかえったのを肌で感じて、あぁ…これは後で怒られるなと覚悟した。

舞台の下手側ギリギリのところに止まったのは、いくら何でも真正面なんて目立つところは避けたかったからなのだけど、さすがにこれはここにいる全ての人の目に留まっているんだろうななんて、何も考えられない頭の片隅にぼんやりと感じていた。



ジッと俺を見ていた北山はゆっくりと近づいてきて、ステージぎりぎりのところでしゃがみ込みすぐ目の前の俺と視線を合わせてくれた。

こんなこと絶対にありえない光景だろうに、相手が俺だと認識しているから辛うじて許されている。
本来ならつまみ出されてもおかしくないのに、北山は近づこうとするスタッフさんを制してまで、俺をジッと見ている。

2→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (264 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
604人がお気に入り
設定タグ:北藤 , キスマイ , 短編集   
作品ジャンル:タレント
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ひろ(プロフ) - 絢音さまご返信ありがとうございました^_^ 今は過去の別サイトは紹介されてないのですね。それでは新作がアップされる機会を楽しみにしておりますね(o^^o) またご迷惑でなければコメントもさせてください。お忙しいところ、ご連絡くださりありがとうございましたm(_ _)m (2021年5月12日 21時) (レス) id: 88642e1cbe (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ひろさん» ひろさん、初めまして(^^)いつも作品読んで下さりありがとうございます♪1ページごとにお星様〜、そんな事言ってくれるの初めてです!とっても嬉しいです(^^)実は歴長いですが、過去の作品は別サイトにあり今はご案内していないんです。お気持ちだけ頂戴しますね(^^) (2021年5月12日 21時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - 1ページごとにお星様を押すことができたら良いのに。そしたらぜんぶのページでお星さま押します。たびたびのコメント、失礼しました^_^ (2021年4月26日 15時) (レス) id: e1b1489f48 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ - はじめまして。作品いつも楽しみにしています^_^絢音さんの作品の登場人物がみんな優しくて魅力的で、温かい気持ちになるので、とても好きです。他にも作品をお書きになられていらっしゃいますか?可能であれば拝見したいですm(_ _)m (2021年4月26日 14時) (レス) id: e1b1489f48 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» ふふふ、ほんとは怖いままで終わらせようとしてました(小声)たまには思い切りなバッドエンドも書きたいと思いつつ、誰得なんだ?と控えてますw。でも最後の描写少なかったかなー、もう1ページ頑張ってもよかったかなぁーなんて沸々思ってきてます(*゚▽゚*) (2021年4月2日 22時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:絢音 | 作成日時:2019年11月3日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。