Tresure box 〜北藤〜

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「え？ガヤがどうしたって？」
「だから、最近よく咳き込んでるだろ？お前ら何か聞いてない？」



本人に聞いても一向に埒が明かないため、俺以外には何か言っていないだろうかとメンバーに聞いてみることにした。
最近なにかと仲良しな玉に聞いてみるもピンと来ていないのか首を傾げるばかりだ。



「え、ねぇ千ちゃんなんか聞いてるー？」



近くにいた千賀にも聞いてくれたが、何のことと逆に訊ねられてしまった。



「…つか、こんだけ一緒にいるのに何で誰も気づかないんだよ」



思わずどうにもならない怒りの矛先を向けてしまいそうになり、慌てて気持ちを切り替える。



「そんなこと言われてもなー、俺らはガヤが体調悪そうにしてるの最近見たことないもん」
「うん、俺も特に見てないけどな」



玉も千賀も心当たりはないという。
どういうことなんだ…？



「ガヤ気配り上手だからさ、もしほんとに体調崩してるんだとしたら俺ら年下には見せまいとしてるんじゃない？」
「あー…それはあるかもなぁ…、あいつ変に我慢強いとこあるから」
「ま、それはみつにも言えることだけどねー」
「は？」
「一昨日の撮影、ちょっと熱っぽかったの俺ら知ってるんだからねっ」
「げ…」



絶対誰にも気づかれていないと思っていたのに。

詰めの甘さに苦笑いしながら、最近の藤ヶ谷もそうなのかと思った。
もしもそうなら、尚更俺が力になってやらないとな…



「黙ってて悪かったよ。ほんとに大したことない微熱だったし、早めに寝たらすぐ下がったから」
「今度隠したりしたらお仕置きしちゃうからね」
「…ぁんだよお仕置きって」
「メンバー全員からのこちょこちょ攻撃」
「うわ…だるっ」



こいつら全員本当にやりそうで想像しただけでも面倒くさい。
分かったからと宥めつつ、これ以上の収穫は無いかと席を立つ。



「…あ、ねぇわったーなら何か知ってるんじゃない？
ほら、わったーもガヤより年上だからもしかしたら…」
「あー…、まぁとりあえず聞いてみるわ。さんきゅ」



あっちこそ多分当てにならないだろうなとは、口にしたくはなかった。

3→←君のためなら

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