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「俺と北山は違うじゃん」
「ん?」
「だーかーらーっ、北山は俺みたいにえろを売りにしてるわけじゃないでしょ?」
「あぁ、…でも俺もたまにはああいうラブシーンやってみたいけどな」
「えぇっ!?そんなの絶対だめーっ!!!」
「あははっ、うるさいなー」
これが藤ヶ谷以外の奴に言われたら、確実に面倒くさいと切り捨てるだろう。
過去に何度か付き合った彼女たちに同じようなことを言われようものならすぐにでも別れを切り出すことは自分の性格上明白だ。
でも、藤ヶ谷は違う。
役なんだから、仕事なんだから割り切れと言ったところで何の意味は無い。
だってそんなこと、誰よりも仕事熱心なこの子はとっくに理解しているから。
理解した上で、わざとこんな困らせるようなこと言って、……俺はそれがすごく嬉しい。
最初こそ胸に秘めて耐えようとしてくれたんだろうが、ちゃんと嫌だったと見たくなかったと拗ねながら伝えてくれる。
藤ヶ谷だから、かわいいなって思うし嬉しい。
俺は昔から、藤ヶ谷だけには滅法甘いのだ。
人の顔色ばかり伺って、メンバー以外にはもしも嫌われたらどうしようとなかなか素直な感情を曝け出せない藤ヶ谷が、俺にはちゃんと面倒くさいことが言えるのだ。
それってすごい事だって思う。
一見ワガママにも取れる発言だって、その裏側は俺に対する好きで溢れかえっているのだと知っているから何だって微笑ましくなってしまう。
「他に言いたいことは?」
「う…、ない…です」
「そ?んじゃーあがろうぜ、さすがに逆上せる」
「えぇーっ、せっかくお風呂で北山といちゃいちゃしたかったのに−」
「残念、もう限界」
はぁぁ…っと肩を落として分かりやすく落ち込む藤ヶ谷に、某番組で見せるスマートでかっこいいキングは影も形も見られない。
でも、俺はこっちのかわいらしいとこがある藤ヶ谷の方が何倍も好きだ。
「太輔」
「っ…!?」
「早く。続きはあっち」
気恥ずかしくて滅多に呼ばない下の名前で優しく呼んでやると、途端に逆上せあがったように真っ赤になる藤ヶ谷がかわいい。
「もっ、もっかい!」
「えー?気が向いたらなー」
寝室を指さしながら早く来ないと寝るぞと言うと、慌てて追いかけてくる。
あぁ、明日の朝は久々に寝不足になりそうだ…なんて思いながらも、寝室へ向かう足取りはここ数日の中で一番軽いものになっていた。
fin
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絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 拗らせ輔ちゃん、ほんと可愛くって大好きです!少し大人なみったんが太輔さん甘やかすの最高ですよね!そんな構図なのに夜は藤北なんて…(〃ω〃)堪らんですね♪ (2019年11月3日 19時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ピンクピーチさん» ふふ、ずっと真剣に観ていたのに、あそこのシーンに差し掛かった瞬間「!?!?」となりめちゃくちゃ狼狽えてしまいました(笑)これを太輔さん観るの…怒られるよ…?と変な汗をかいてしまいましたよね(〃ω〃)ありがとうございました! (2019年11月3日 19時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - 蜜柑さん» 蜜柑さん♪一番乗り〜!嬉しい(〃ω〃)まぁ甘々は苦手なもので、これで良いのかと葛藤しながら書いたら思いのほか短くなってしまいました…(苦笑)喜んでもらえてよかったです♪ギャーッ、私も大好きー!!! (2019年11月3日 19時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
たいちゃんらぶ(プロフ) - 遅くなってしまいましたー(焦)舞台上のシーンに拗らせ輔ちゃん炸裂させるたいぴに他の感想は無いわけ?っていうみっくんが愛おしい・・結局たいぴが可愛くって激甘になってしまうみっくんと今日はいちゃいちゃいっぱいしてね(≧∇≦)ってなりました♪ (2019年10月31日 22時) (レス) id: 0f3cc9e55e (このIDを非表示/違反報告)
ピンクピーチ(プロフ) - 私も、妖精とセッ…の流れ気になりました!(笑)鼻血もんですよね!!こんな藤北、最高です! (2019年10月27日 18時) (レス) id: f1b41ec3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年10月27日 10時