21 ページ21
『そんな下心満載で言われたんじゃ行けないな』
「えー?」
『第一俺看病とかできないんだったわ。
よこーさんとかの方がいいよ』
「北山だったらいてくれるだけでいいよ」
『…っ』
息を呑むような音に、自分がどれだけストレートな表現をしていたか自覚した。
「……ほんとだよ」
取り繕うことをしなかったのは、…頑張るって決めたから。
北山が側にいてくれたら、それだけで俺は…。
『…いやいやまずは健康でいなさいって』
当たり前のようにくれる言葉が、やっぱり俺を思いやってくれるもので嬉しい。
それだけで、嘘のように疲れが取れていく…。
「北山」
『んー?』
「…会いたい」
『……』
弱っている姿を見せたくなくて、北山の前ではカッコつけていたくてあの日看病を断ったのに、今の俺はどうだ。
会いたいなんて…そんな事言われたって北山困るだけなのに、それでもこの口は会いたいと伝えてしまった。
沈黙が痛い。
冗談だよ、と…言うべきなんだろうか。
口を開こうとした時、それよりも少し早く北山が言葉を発した。
『今日は…、もう遅いからさ』
「…そうだよな」
分かってる。
分かっているとはいえ、会いたい時に会えない関係性を…改めてまざまざと突きつけられたような気がした。
『あー…、明日さ、俺…この時間家でのんびりしてるから』
「ん?」
『…電話、する?』
「っ、する!」
『あは、必死だなぁ〜』
気持ちが堕ちてしまうのも、幸せになれるのも、北山が相手だからだな。
「用事無くても、掛けていい?」
『…用ならあんだろ』
「え?」
『……お前さ、…俺の声が…聞きたいんだろ?』
「…!」
急に狼狽えるような声音に、自分の事が好きだからだろなんて…恥ずかしがり屋の彼に言わせてしまったことに気づいた。
「…うん、そうだよ」
『…っ…分かったから』
「ほんとに?ほんとに分かってる?」
『も…うるさいお前』
これ以上言うと切るからななんて脅し文句のような言葉を投げられて、ここが引き際だと素直に念押しを止めた。
そして時計をチラッと見て、まだまだ会話を続けていたいけどそろそろ切らないといけないなと急に虚しさに襲われた。
1108人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
絢音(プロフ) - みーちゃんさん» みーちゃん♪この度は良縁に恵まれ、直接生の感想を頂くという尊い時間をありがとうございました!いやはやしかし生談義は良いですなぁ〜(*゚▽゚*)これからも素敵な藤北お届けできるように妄想に励みます←笑。 (2019年10月27日 11時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - もえさん» もえさん♪たいぴの胸にお顔ぐりぐりみったん、会員向けプレミアム雑誌(空想)に載せてもらいたいですよねぇー!それだけで我々は生きていけますね(^^)2人のもだもだした恋愛の行く末を見届けて下さりありがとうございました!番外編も頑張ります! (2019年10月27日 11時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶさん♪読み返しのところの追描写に納得してくれてホッ…。気持ちを自覚してからのみったんはかわいいの宝庫でしたね!笑。番外編も引き続き楽しんでもらえるように執筆中でございます♪いつもありがとうございます! (2019年10月27日 11時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ここさん» ここさん♪確かに、自分を北山さんにと太輔さんにと置き換えてみても双方とお付き合いしたくなるような魅力が詰まっていますよね(^^)そんな素敵な2人が無事にくっ付いて作者もホッとしているところです。番外編はひたすらに甘々いちゃいちゃさせたいと思いつつ…笑 (2019年10月27日 10時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ちぐさん» ちぐさん♪ようやくみっくんの心を手に入れた太輔さんはこれからいっぱい幸せな気持ちで満たされることでしょう!次は身体も…(〃ω〃)でもその描写番外編に入るかな…?ありがとうございました! (2019年10月27日 10時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:絢音 | 作成日時:2019年8月10日 23時