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『…はい、もしもし』
「っ…?」
何が起こったのか驚きすぎて整理できず固まっていると、もう一度北山の声が聞こえた。
『もしもし、…藤ヶ谷?』
「あ…、き…たやま…」
『うん』
ずっと聞きたくて堪らなかった、声…。
どうしたと問いかける声に、俺は他人行儀みたくこんばんは…と口にしていた。
『え?んはは、こんばんはー』
「…今、少しだけ話せる?」
『うん、もう寝るだけだったし平気』
「そっか」
北山だ…、俺今、北山と電話してる…。
何だかそれだけの事が無性に感動してしまって、上手く話せずにあー…とかえっと…とかを繰り返していると、ふふって笑う声が聞こえた。
「ん?」
『いや…、…えーっと、体調…大丈夫?』
「え?」
『ほら、この前ロケ先で熱中症起こしてたろ?
稽古場も暑いんじゃないかなって』
「あ、うん。まぁ暑いんだけど、平気」
『そりゃよかった。ちょっと気になってたからさ』
そうだ、あれ以来ずっと北山と会えていない。
たった数日前のことなのに、随分と前のことのような気がする。
「気にしてくれてたの?」
『だってお前、あんな状態で一人でマンション入っていくしさ、そっからなんだかんだで会う機会無かっただろ?』
あの日…、看病しに行こうかと躊躇いながらも言ってくれた北山の申し出を、俺は一人で平気だからと断った。
実際こまめに水分と塩分を摂りながら眠っていただけだったから平気だったけど、後になって沸沸と何であの時断ってしまったんだろうかという後悔ばかりが押し寄せてきた。
せっかく……
「ごめんね、迷惑かけた」
『別に…迷惑ではないけどな』
「でも残念、せっかく北山が部屋に来てくれるチャンスだったのに」
『へ?』
「あーあ、何で俺強がって断ったりしたんだろう。
ねぇ、もう一回熱中症になったら今度は家で看病してくれる?」
『何だよそれ』
呆れたように笑う声が、何だかとても穏やかで優しくて。
あぁ…だめだ、もっと余計に会いたくなってしまう。
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絢音(プロフ) - みーちゃんさん» みーちゃん♪この度は良縁に恵まれ、直接生の感想を頂くという尊い時間をありがとうございました!いやはやしかし生談義は良いですなぁ〜(*゚▽゚*)これからも素敵な藤北お届けできるように妄想に励みます←笑。 (2019年10月27日 11時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - もえさん» もえさん♪たいぴの胸にお顔ぐりぐりみったん、会員向けプレミアム雑誌(空想)に載せてもらいたいですよねぇー!それだけで我々は生きていけますね(^^)2人のもだもだした恋愛の行く末を見届けて下さりありがとうございました!番外編も頑張ります! (2019年10月27日 11時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶさん♪読み返しのところの追描写に納得してくれてホッ…。気持ちを自覚してからのみったんはかわいいの宝庫でしたね!笑。番外編も引き続き楽しんでもらえるように執筆中でございます♪いつもありがとうございます! (2019年10月27日 11時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ここさん» ここさん♪確かに、自分を北山さんにと太輔さんにと置き換えてみても双方とお付き合いしたくなるような魅力が詰まっていますよね(^^)そんな素敵な2人が無事にくっ付いて作者もホッとしているところです。番外編はひたすらに甘々いちゃいちゃさせたいと思いつつ…笑 (2019年10月27日 10時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ちぐさん» ちぐさん♪ようやくみっくんの心を手に入れた太輔さんはこれからいっぱい幸せな気持ちで満たされることでしょう!次は身体も…(〃ω〃)でもその描写番外編に入るかな…?ありがとうございました! (2019年10月27日 10時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年8月10日 23時