17 ページ17
「こっ…こないだの、話だけど…」
「えっ?」
話を切り出した俺に慌ててタオルを外そうとするから、その手を掴んでそのままで聞いてほしいと元の場所に戻した。
だけどきゅっと握られたまま手を離してくれなくなって、苦笑して話を続けた。
「……嬉しかったよ、藤ヶ谷の気持ち」
色々言いたい事はあるけれど、繊細で難しく考えがちなところがある藤ヶ谷を思って、まずこれだけは明確に伝えたかった。
「俺の事、もっと知りたいって…思ってくれているのも…、隣にいたいって言ってくれたのも全部、…嬉しかったよ俺」
自分の今の気持ちがきちんと伝わるか不安で、手のひらに嫌な汗がジワリと滲む。
「…でもさ、藤ヶ谷は多分…そのままの言葉の意味だけを伝えてくれたわけじゃないって思ってる。
俺の事…きっと他のメンバーよりも、少しだけ特別に思ってくれてるんだと…思う」
繋がれている手に、ぎゅっと力が込められる。
力の強さから藤ヶ谷の気持ちが流れ込んでくるようで俺もちゃんと…本音で向き合わないとって思った。
「俺は、藤ヶ谷の事が好きだよ。ずっと…ずっとお前が大事だよ。でもその気持ちが藤ヶ谷と同じものかって訊かれると正直……分かんない」
藤ヶ谷の事、たくさん考えた。
考えてやっぱり、同じ気持ちだとは思えなかった…。
次に続ける言葉をぐるぐると考えあぐねていると、藤ヶ谷が言葉を紡いだ。
「……ひとつだけ、訂正させて?」
「えっ?」
「少しだけ…じゃなくて、すごく特別に思ってるよ」
「──…っ」
手を握っている方とは別の手で藤ヶ谷の目元を覆うタオルが避けられてしまい、真剣な眼差しを真っ直ぐに射抜かれる。
その目を見返す覚悟が俺には無くて、…少しだけ視線を外した。
「…北山はさ」
「っ、…うん」
「俺の事、気持ち悪くない?」
「へ?何で?」
「だって…お前にさ、恋愛感情向けてるんだよ?」
「っ…」
改めてはっきり言葉にされると、なんて返したらいいか分からなくなる。
でも、気持ち悪いなんて絶対に思わないから、それをしっかりと伝えた。
1108人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
絢音(プロフ) - みーちゃんさん» みーちゃん♪この度は良縁に恵まれ、直接生の感想を頂くという尊い時間をありがとうございました!いやはやしかし生談義は良いですなぁ〜(*゚▽゚*)これからも素敵な藤北お届けできるように妄想に励みます←笑。 (2019年10月27日 11時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - もえさん» もえさん♪たいぴの胸にお顔ぐりぐりみったん、会員向けプレミアム雑誌(空想)に載せてもらいたいですよねぇー!それだけで我々は生きていけますね(^^)2人のもだもだした恋愛の行く末を見届けて下さりありがとうございました!番外編も頑張ります! (2019年10月27日 11時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶさん♪読み返しのところの追描写に納得してくれてホッ…。気持ちを自覚してからのみったんはかわいいの宝庫でしたね!笑。番外編も引き続き楽しんでもらえるように執筆中でございます♪いつもありがとうございます! (2019年10月27日 11時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ここさん» ここさん♪確かに、自分を北山さんにと太輔さんにと置き換えてみても双方とお付き合いしたくなるような魅力が詰まっていますよね(^^)そんな素敵な2人が無事にくっ付いて作者もホッとしているところです。番外編はひたすらに甘々いちゃいちゃさせたいと思いつつ…笑 (2019年10月27日 10時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ちぐさん» ちぐさん♪ようやくみっくんの心を手に入れた太輔さんはこれからいっぱい幸せな気持ちで満たされることでしょう!次は身体も…(〃ω〃)でもその描写番外編に入るかな…?ありがとうございました! (2019年10月27日 10時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:絢音 | 作成日時:2019年8月10日 23時