俺とお前のHUG&WALK

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酷使させてしまった腰を温めるようにゆっくりと摩れば、嬉しそうに擦り寄ってくる。

ひろ…と甘えた声で名前を呼ばれる度、言葉に表せないほどの思いに包まれる。



もしもこのまま時が止まれば、一生幸せな気持ちのままいられるかもしれない…なんて、そんな夢物語に想いを飛ばしてみたりして…
けれど結局、行き着く想いはいつも同じなんだ。






──例え苦しくても、泣きたいほど辛い瞬間にぶつかったとしても、太輔と一緒にこれから先の未来も歩いていきたい。

時が止まったら幸せしか感じられない。
苦しさや辛さを知っているから、幸せであることがどれだけ尊い事かを知れるんだ──






この手の温かさも

この唇の柔らかさも

名前を呼ぶ愛しい声も

眩しいほどの笑顔も




全部全部、同じ時間を刻んでいるからこその…







「ひろ」
「何？」
「……」



ちょっと舌ったらずの甘えたな喋り方は、眠りに誘われる直前のものだということも、きっと俺だけが知れる太輔だ。

名前を呼んだきりボンヤリして、それからふぁぁ…とまたかわいいあくびをした。



「んふふ、寝よっか」
「…んー……」
「はいはい、寝ようなー」



結構激しめにシてしまったし、もう今にも瞼がくっつきそうになっている。
それでもまだ眠りにつくのが嫌みたいで俺にしがみ付いてグズっている。

さっきまであんなに色気たっぷり醸し出していたのに今はもう寝付きの悪い子どもみたいになっている。

ポン…ポン…とあやすように背中を撫でれば、呼吸がだんだんと深く穏やかなものへと変わっていく。



幸せな夢が見れるといい。
夢の中でだって笑っていてほしい。



完全に目が閉じるのをたくさんの愛情を向けて見守っていると、眠りにつく間際に太輔の口元が弧を描く。



「…おやすみ、ひろ…。…だいすき」



そして一足先に夢の中へと向かった恋人の寝顔を見ながら俺は言葉に表せなかったもどかしい思いの正体が「幸せ」である事に気づけたんだ。







おやすみと眠る君に囁いて、ぎゅっとハグをした。

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