俺とお前のHUG&WALK

双子の結末 1 ページ22

14、双子の結末
sideKi




23時35分。
そろそろだねとお気に入りのハーブティーを淹れて太輔は俺の隣にちょこんと座った。



「もう最終回かー、早いな」
「まだseason2って続くけどね。とりあえずは一区切りだね」
「ほんと、お疲れ様」
「ん…、えへへ」



労うようにポン…と頭を撫でると嬉しそうに微笑んだ。



今日は、太輔がここ数ヶ月の間ずっと力を注いでいたドラマ…、ミラー・ツインズseason1の最終回だ。

犯罪者と刑事という双子の役に大抜擢され、正反対ともいえる役柄にずっと悩まされてきた姿を、誰よりも近くで見てきた。
周りがベテランの俳優さんばかりで主役を張るなんてと、オファーが決まった頃はよく素直な弱音を聞かせてくれていたけれど、撮影が始まってからは一切そういう事は言わなくなり、その分帰ってきてよく甘えてくれるようになった。

もっと色々吐き出しても良いんだよと言っても、こうやって抱きしめて甘えさせてくれるだけで疲れも悩みも全部無くなるのと幸せそうにはにかむ様子に、それなら俺は俺のできる事をしてやろうと…、甘えてきてくれるなら存分に甘やかそうじゃないかと、プライベートの太輔を今日まで支えてきた。



それに、太輔と過ごす事で俺自身もたくさん癒されている…。



与えているだけじゃなくてたくさん太輔から幸せと癒しを与えてもらっているから、俺らは一緒にいる事で仕事をきちんと頑張れるんだ。



「あ…始まる」
「なんか緊張すんなー」
「へへ…すっごい展開だから瞬きしないで見てね」
「はいはい」



毎週のようにリアルタイムで二人で並んで見ていた時間は、俺の中ですごく特別な時間だった。
画面の中で生きる双子が、隣を見れば穏やかに微笑んでいる。
手を伸ばせばすぐ触れられる距離にいる…。

だけど双子の中に「太輔」は少しもいなくて、ちゃんと二人の人間を生きてるんだなって…すごく感慨深い気持ちでいたんだ。

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